ライダーズスタンド2りんかん バイク好き列伝! File.02 "レースに魅せられた男" 多摩2りんかん店長 菅野 貴

「お客様のために僕の経験や知識が役立つことが嬉しいのです。」そんな実直なスタンスで仕事に取り組んでいる菅野貴(かんの・たかし)さんは、自らを「ビビリ」だという。しかし休日は、アマチュアながらサーキットでトップ争いを繰り広げるレーサー。その素顔に迫る。

 バイクには中学の頃から興味があったという菅野さん。高校時代は『三ない運動』のただ中、生まれながらの「ビビリ」ゆえ原付にすら乗ることはなかった。「それでもレースに憧れ、雑誌を見ながら教室の椅子でハングオンの真似をしたり(笑)。」

 大学に合格、念願の二輪免許を取得、FZR250を手に入れ、埼玉・入間にある自宅の近所や、飯能の山を走り回った。ジムカーナの練習会など、真面目な活動をしているバイクサークルに所属。初ツーリングで先輩たちとの技量の差にショックを受け、初転倒もこの時に経験してしまった。しかし、ツーリングから帰ると転倒で壊れた愛車を、先輩や仲間たちが一緒に修理しようと言う。解体屋で部品を漁り、夜な夜な修理をした。「壊れても、ワイワイ言いながら自分たちで直せることを知った。自分でいじる楽しさに目覚めた。これが僕のバイクワールドの原点です!」

 以後、ツーリングにオフロード、ミニバイクレースなど、バイク漬けの生活を送る。ライディングのスキルは上がっているはずなのに、『ビビリ』は相変わらず。「当時から公道では仲間から心配されるぐらいマージンをたっぷりキープして走っています。」(下に続く)

■写真上段はGPZ900Rと菅野さんの勇姿。下段左は2011年耐久マスターズ優勝時。右はレース仲間たちとのスナップ。

 大学卒業後「ドライバースタンド」に入社。「2りんかんを始める前から、二輪用品もしっかりと取り扱っていた店なので、迷いはありませんでした。週末はレースがしたいから、入社試験の時にきちんと休みが取れるか質問しましたね(笑)。」入社一年目は四輪担当、以後現在まで二輪を担当している。店舗に立ってみて、接客業は自分に合っていると思ったそう。「自分の経験がお客様の役に立てるのが嬉しい。それがバイクのことならばなおさらです。」

 初ボーナスでCBR400RRのレーサーを入手、サーキットに持ち込むと、ジムカーナやミニバイクでの経験が生きて、最初からそこそこ走ることができた。「速さに魅了されました。ミニバイクよりコストはかかるけど、ハマりました。」ツインリンクもてぎで開催されている耐久レースイベント「もて耐」には、パーツの寄せ集めで作ったGPZ900Rで参加した98年の第一回以来、皆勤賞。2011年、耐久マスターズでの優勝など、好成績もマークしている。

 性格的に趣味と仕事は分けたいタイプ。だから「あくまでプライベートでのレース参戦がいいのです。気のおけない仲間と参加するレースの楽しさは格別。家族も一緒に楽しみながら応援してくれています。ビビリだけどストイック、レースに打ち込んでいる自分に酔っている(笑)。サーキットではタイムを削ることに一生懸命、自分との戦いに勝ちたい。昔から変わらないですね。」(下に続く)

 再び仕事のお話し。菅野さんはこれまで厚木、市原2りんかんの立ち上げの他、川越、和光、府中で店長を経験、現在は多摩2りんかんの店長をつとめる。「店ではあまり自分のカラーを出さないようにしています。お客様は初心者の方も多いので、わかりやすいご案内を心がけています。」

 自分が使ってみて気に入った商品を、仲間に奨めるようにしっかりとお客様に伝えることもそのひとつ。商品の陳列にも工夫を惜しまないし、POPづくりも、菅野さんは手書きにこだわる。

 プロテクターの装着が普及して久しいが、次はライディングスキルの向上や愛車のコンディションについても考えて欲しいと菅野さん。「自分の技量を知り、安全のためのスキルを身につけることも大切だと思うのです。愛車のメンテナンスや整備にも興味を持って頂けるような働きかけを心がけています。」(下に続く)

 『お客様に安全にツーリングを楽しんでもらえるように。』との思いから、菅野さんが20年近く続けているのがオリジナル・ツーリングマップの制作。勤務する店舗を起点に、自らの試走をもとにしてツーリングマップを手作りしているのだ。「原付でも行ける初心者向けの短いコースから、峠や温泉も楽しめる250キロコースなど、5~6パターンを用意、コピーして店頭で配布しています。簡単なものですから、道に迷わないように地図やナビを併用して頂かないといけませんが(笑)。

 自分のスタイルは、昔ながらの『街のバイク屋さん』的なのかもしれません。でも、知っていることは何でもお客様にお伝えしたいのです。」そんな菅野さんの元には、レース活動を前面に出さずとも、口コミで『レースをやってる菅野』を指名するお客様も多いとか。社内でも「ニンジャのことなら菅野」と言われ、別の店のスタッフから相談を受けることも。

 「好きだからこそ今でも僕自身いろいろ勉強もする。僕の知識がみんなの役に立ったと実感できた時が嬉しいですね。」と菅野さんは心からの笑顔を見せてくれた。

オートバイ用品専門店
ライダーズスタンド 多摩2りんかん
東京都東久留米市南町2-7-9
営業時間:10:00〜20:00
TEL:042-467-5811

photo&text: Gao Nishikawa
取材協力:
多摩2りんかん 
http://driverstand.com

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