TEAM JAOSとドライバー能戸知徳の挑戦。

バハ・カリフォルニア半島で繰り広げられる「世界一過酷」なレース“BAJA 1000”。2026年11月、TEAM JAOSはハイブリッド車・LEXUS GX550hで市販車(Stock Full Size)クラス優勝に挑む。チームを牽引しステアリングを握る能戸知徳さんにお話を聞いた。
photo: TEAM JAOS、Taka Masui、Gao Nishikawa

TEAM JAOSがBAJA 1000に挑むのは今年で5回目。2022年にLEXUS LX600で初参戦して以降、試行錯誤を重ねながら挑戦を続け、2024年に市販車クラスでの初完走・初クラス優勝を果たし、3ヵ年計画のBAJAチャレンジを成功させた。昨年からは「The Challenge of Going Carbon Neutral」を掲げて新たな3ヵ年計画をスタート。日本未発売のハイブリッド車、LEXUS GX550hでの挑戦を決めた。 「LEXUSの開発陣も『ハイブリッドを鍛えるには最高のステージ』と開発にも積極的にご協力いただいています。」そう語るのは、初参戦からドライバーを務め、2025年には約31時間に及ぶレースを一人で走り切り、クラス2位と“Ironman”の称号を得た能戸知徳さんだ。

 TEAM JAOSの原動力である能戸さんは、小学生からレースに親しんできた。「父が北海道で四輪駆動車ショップを経営しており、11歳でレース初参戦。2000年に12歳の時に父と観戦したBAJAで、ガソリンの匂いやV8エンジンの咆哮に衝撃を受け、ここを走ることが僕の夢であり目標になりました」 18歳でアジアクロスカントリーラリーに参戦した際、コ・ドライバーを務めたのが、現在、株式会社ジャオス代表とチーム監督を務める赤星大二郎さんだった。一度はレースから遠ざかり家業に専念していたが、赤星さんの熱意のこもった誘いを受け、2015年にJAOSへ入社。創立30周年プロジェクトとして発足したTEAM JAOSのドライバーに迎えられた。2016年からトヨタ・ハイラックスでアジアクロスカントリーラリーへの挑戦を開始し、2019年に悲願のクラス優勝を達成する。

 転機は2022年。LEXUSが初めて“OFF ROAD”の名を冠してして発表したLX600のカスタムパーツをJAOSがお披露目したことだった。北米市場をルーツに持つLEXUSのSUVを走らせるなら、舞台はアメリカのBAJA 1000がふさわしい。「このプロジェクトには、モリゾウさん(豊田章男トヨタ自動車会長)も賛同してくれました」。こうして、能戸さんが少年の頃から抱き続けた夢への挑戦が現実のものとなったのだ。

 現在、能戸さんは株式会社ジャオスでモータースポーツ推進としてホイールの開発等を担当しながら、レースの準備に追われる日々を送る。 「普段は群馬トヨタのエンジニアと一緒に作業したり、車両のテスト走行とモディファイを繰り返すなど、一年中準備をしている感覚です。それでも好きなことをやっているので苦にはなりません。監督の赤星は常に応援してくれる一番の理解者。赤星をはじめ支えてくれる皆さんと一緒に、市販車クラス優勝という目標を達成したいです!」

※2026年9月発行/オンザロードマガジンvol.79から

2025年のBAJA 1000を走るTEAM JAOSのLEXUS GX550hと、ピットの風景

クラス2位を獲得したドライバーの能戸さん。

小学生ながら地元北海道でレースに参戦していた能戸さんは、18歳で三菱パジェロを駆りアジアクロスカントリーラリーに参戦。

2015年、ジャオスに入社した能戸さんは、TEAM JAOSのドライバーとしてトヨタ・ハイラックスでアジアクロスカントリーラリーに参戦。初年度のコ・ドライバーは代表の赤星さん。2019年にはクラス優勝を果たす

2022年よりLEXUS LX600 “OFF ROAD” JAOS ver.でBAJA 1000に参戦を開始、2024年には市販車クラス優勝を果たした。

2025年、BAJAのゴールでのインタビュー風景。右がジャオス代表で監督の赤星大二郎さんだ。「ドライバーだけでなくメカニックもレースの現場で得た感覚や経験が仕事にフィードバックされる。レースは人を鍛えてくれるのです。過酷なレースに挑戦する情熱は、群馬トヨタグループやKYB、TOYO TIRESなど多くのパートナーを巻き込み、LEXUSも協力体制を敷いてくれています。能戸の夢が私の夢になり、いつしかみんなの夢になりました。リスクがあっても挑戦しないで後悔するより挑みたい。そんな思いを胸に今年もBAJAに向かいます。」と赤星さんは筆者に語ってくれた。

2026年11月のBAJA 1000に向けたメンテナンス中のLEXUS GX550hと能戸さん。容量170Lの競技用安全燃料タンクも搭載する車内は、太いロールケージでガード。市販車クラスのレギュレーションでショックは一輪に1本と決まっているため、太くするなど工夫。「LEXUSの開発者や評価ドライバーとも情報交換、レースの経験をもとにブラッシュアップした制御技術は市販車にもフィードバックされます。夢を実現しながら少しかも知れませんが社会の役に立つ、やりがいがあるプロジェクトです。」

about BAJA 1000
BAJA 1000は、メキシコの北西、太平洋とカリフォルニア湾に挟まれたバハ・カリフォルニア半島の砂漠地域で毎年秋に開催される。2026年のスケジュールは11月9日~15日、約1,000マイルのコースは毎年変わる。マップは2025年のコース。

株式会社ジャオスは1985年の創業以来、4WD&SUVパーツの企画・開発・製造を手がけるカーパーツメーカー。アフターマーケットパーツからメーカーやディーラーへのOEMも手がけ、海外への展開も積極的に行なっている。

株式会社ジャオス
群馬県北群馬郡榛東村広馬場3586-1
Tel.0279-20-5511
www.jaos.co.jp