カーデザインのスペシャリスト、”DAMD”徳田亮介さんが語る“日常の彩り”を演出するカスタムパーツづくり

カーデザインのスペシャリストが語る
“日常の彩り”を演出するカスタムパーツづくり

カスタムパーツメーカーのダムドで活躍するデザイナー、徳田亮介さんに、そのライフストーリーと、“デザインすること”への思いを聞いた。

 ”クルマ好き”だけでなく、クルマを”生活に彩りを与えるツール”と考えるライトユーザーの心も捉え、ファンを増やしているダムド。その製品のデザインを担う中心人物が、入社6年目を迎える徳田亮介さんだ。

 愛知県豊田市生まれ。父上が自動車メーカーに勤務していたが、徳田さん自身は特にクルマ好きではなかった。家電のデザイナーを目指し武蔵野美術大学に入学した直後、街で見かけた二代目アウディTTのカッコよさに衝撃を受け、「カーデザイナーになることだけを考える学生になっちゃいました」と笑う。新卒で日産自動車に入社、デザイナーとして働き、海外研修をはじめ得難い経験を積む。プライベートではアルファロメオ・スパイダーなどスタイリッシュなスポーツカーを乗り継いだが、カスタムカーにはあまり興味がなかったという徳田さん。2019年の東京オートサロンで見たジムニーがベースのユニークでハイクオリティなカスタムカーに心を動かされた。後日、そのジムニーを作ったダムドの代表で、ベンチャースピリットに溢れる面高翔五さんと運命的な出会いを果たし『かつて日産が作ったパイクカーのコンセプトを現代に甦らせたい。デザイナーとして決定権のある立場になりたい。』という思いを熱く伝えた。「ダムドならそれができると確信して、転職を決めました。」

 以来、ダムドのカスタムパーツキットのデザインを主導してきた徳田さんは言う。「ここ2年ほどで組織が倍以上になり、ベース車種選びやスタイリングにスタッフの意見が反映できるようになりました。自分の主張がすべてではない。お客様のニーズが一番、二番目はダムドとしての主張。その方が健全だし、とてもポジティブな変化だと思っています。」

パイクカーとともに以前から気になる存在だったのが、光岡自動車の”ビュート”だ。「マーチやヤリスをベースに、クルマをファッションの一部と捉えてエクステリアを丁寧に作り込み、それでいて高額過ぎない。すごく面白いアプローチだと思います。」”クルマ好き”から見ると、『あれはホンモノじゃない』といった意見があることは徳田さんも承知しながら「自分はクルマ好きになるのが遅かったからか、許容範囲が広いのだと思います。」と笑顔で語る。

「ダムドの製品を愛してくれているお客様、そして未来のお客様に提供したいのは”日常の彩り”です。クルマは趣向品で洋服と同じようにファッションの一部にならなければ価値がないと思うのです。」現行車をネオレトロにカスタムすることは単なる懐古趣味ではない。ユーザーは人と違うエクステリアのクルマに乗ることを”自分らしさの表現”と考え、楽しんでいる。今はそんな時代だともいえよう。「“東京オートサロン”などに完成車を出展するだけでなく、お客様が集えるイベント“ダムドパーティー”などを企画・開催、ファンとつながる機会を作っています。そこから生まれるアイデアも大切にしたい。」

 デザインの世界にも台頭するAI。徳田さんはこれを「使った者勝ちの、とても便利なツール」だと歓迎する。そしてAIの時代だからこそ、デザイナーとして、人としての役割を明確にすることも大切だと言う。「AIは情報収集の範囲が広く解答のスピードが速い。人はスピードこそ劣るものの思考が奥深く感情を入れることができる。ただカッコいいもの、売れそうなものを作るだけでは人の心は動かない。大切なのは裏付けがあるストーリーの存在であり、ものづくりに哲学が息づいているか否かです。しつこいほどのこだわりや偏愛が心に刺さることもあります。モノづくりだけでなく、YouTubeチャンネル”DAMD CLIP”など広報活動でも、哲学やストーリー、人の情熱などにフォーカスした発信を心がけています。」と、徳田さんは熱っぽく語る。

「ほんの少しだけ余分にコストをかけることで、クルマが魅力的になる、乗りたくなる、人生が楽しくなる。僕たちの仕事はそのためのお手伝いだと考えています。そんな思いを胸に、情熱をもってモノづくりをしています。」デザイナーとしてのこの先の夢や目標について伺うと、「スポーツカーをデザインしたいですね。それから国ごとに志向の異なる海外のマーケットにもチャレンジしたいと考えています。個人的には、デザイナーという立場を越えて社会に影響力を持てるような存在になりたいです。」と答えてくれた。

 ユーザーの喜ぶ顔を思い浮かべながら、モノづくりに没頭する。これぞまさにやり甲斐であり、”クリエーター冥利に尽きる”というもの。カーデザインのスペシャリスト、徳田さんのますますの活躍を心から楽しみにしている。

徳田さんとダムドのカスタムカー、REVERB(左)とISOLATOR。ベースはホンダ・WR-Vとホンダ・フリード。

カスタムパーツの開発は、社長以下スタッフみんなで行う。

さまざまな手法で描かれるスケッチ、モデリングの指示書、3Dプリンターによるプロトタイプの検証、そして成形試作。

デモ車ができあがると、毎回コンセプトや世界観にマッチしたロケーションを探し撮影を行っている。

ユーザーとの交流イベント「ダムドパーティー」を毎年開催している。

カスタムパーツを取り付けたデモ車を前に、クルマ好きも納得のこだわりが詰め込まれた開発秘話を語ってくれた徳田さん。

短時間でサラサラとスケッチを描いてくれた徳田さん。その仕上がりは流石!

1993年愛知県豊田市生まれ。高校時代はバンドを組んでいたほどの音楽好き。
武蔵野美術大学では工芸工業デザイン学科インダストリアルデザインを専攻。
日産自動車のデザイナーを経てダムドに入社。2019年の入社以来30種類のカスタムパーツキットをデザインしている。

株式会社ダムド
神奈川県大和市下鶴間45−1
info@damd.co.jp