ウイリス・オーバーランド社製のMB。そう、4WD車の代名詞、アメリカが生んだJEEPのルーツである。埼玉のタイガーオートが所蔵する、世界的にも大変貴重な、極めてオリジナル度の高い一台をご紹介しよう。
1940年にアメリカ陸軍の要請で設計され、'42年からわずか3年間に60万台以上がラインオフ、世界中に渡ったアメリカ製の小型四輪駆動車、JEEP。この車両はその中の一台、'45年にウイリス・オーバーランド社が生産したMBだ。お馴染みのこのカタチ、実はウイリス製のMBとフォード製のGPWがある。また、JEEPという名称も起源に諸説あり、ウイリス・オーバーランド社が正式に商標登録したのは戦後のこと。もとはGIたちの愛称だったとも言われる。虚飾を排したデザインだけが持つ機能美は、70年の時を経ても色あせることはない。
ウインドウスクリーンを倒して使うのが、当時もっともポピュラーな姿。ワークホースとして荒っぽく扱われたゆえだろう、オリジナル度の高い現存車両は世界的にも貴重。排気量約2,200ccの直4サイドバルブエンジン搭載。ミッションは前進3速・後退1速の副変速機付き。2WD/4WDは手動で切り替え可能。
「長年JEEPとともに歩んできたタイガーオートとして、MBは何としても手に入れたい一台でした。」と語る代表の山中哲治氏。14年2月に亡くなった先代山中敏正氏とともに、この車両に出会った3年前のエピソードも伺った。現行ラングラーとのツーショットからMBのコンパクトさがおわかり頂けるだろう。