孤高のヘビーオンス・デニムを作る "IRON HEART" 原木真一 Shinichi Haraki

PRIDE OF JAPANESE CRAFTMANSHIP
21oz. Extra Heavy Denim IRON HEART
孤高のヘビーオンス・デニムを作る
原木真一 Shinichi Haraki

13年前、21オンスデニムの厚さ、硬さに度肝を抜かれた。
しかし履いてみると、わずか数日で身体に馴染んだ。
しっかりと脚を包み込んでくれ、特にバイクに乗る時には手放せない存在になった。
それが、日本で生まれ世界が認めたヘビーオンス・デニム、『アイアンハート』だ。

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ハーレー雑誌に特化して露出、『バイカーのための21オンス・デニム』としてスタート。
ヘビーオンス・デニムを核として広がるアイテムには、生みの親である原木真一さんが愛するアウトドア、ワーク、ミリタリーなど、アメカジのテイストが息づいている。
「創業前にアパレル業界で約20年働いてきました。そこでできた引き出しから、時代にあったものを取り出してモノづくりに生かしているのです。」と原木さん。
「ヘビーオンスでも、パターンが優れていれば履きやすいジーンズは作れる。」が創業当時からの原木さんの持論であり、アイアンハートが支持される大きな理由。
これも自身の経験に裏打ちされている部分である。

現在では、国内はもとより、海外30店舗以上で展開する注目のデニムブランドとなった『アイアンハート』。
北米やEU圏の他、豪州、ニュージーランド、アジアにも多くのファンをもつ。
世界に羽ばたくジャパニーズ・ブランドとなったアイアンハートだが、「変わることなく、ごく狭い範囲を深く掘り下げているだけです。小さな事務所で、自分の思い込みから生まれた21オンスデニムの200本のジーンズから始まった。以来変わらないことをやっているだけなのです。」と原木さんは語る。
だから「ブランドを無闇に大きくするつもりはありません。希少であることも魅力のひとつだから。」と笑う。

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八王子の"IRON HEART THE WORKS"。 この物件との出会いも成長に欠かせなかった。 「スタッフからの反対意見もありましたが、世界観を体現できる広いショールームを併設した拠点が必要だと思って決断しました。先に器を用意することで、器なりの存在になれるのだと信じての投資でした。」


前述の通り、アイアンハートのモノづくりの中央には、常にバイクがある。
「乗る時に履きたいジーンズとして『バイク乗りのための骨太なブランド』をコンセプトに生まれたのがアイアンハートです。バイクというアンカー(錨)が存在しなければ、ファッションブランドの中のひとつになっていたでしょう。」
タフなデニムを開発したのは、厳しい環境にさらされるライダーのため。
ジャケットやシャツなど、他のアイテムにもその哲学は貫かれる。
これまではハーレーダビッドソンを愛するライダーを中心に据えてきたが、原木さん自身が無類のバイク好き、今話題のスクランブラータイプや、トライアンフ、BMWなどの動向も気になるという。
世界を巡り各国のバイクシーンにも触れている。
「バイクがオトナの趣味として確立している欧州のライダーはとても洗練されている印象がある。アイアンハートは、そんなオトナがバイクに乗るためのスタイルを作っているつもりです。」
ライダーにとってジーンズは必須アイテムのひとつ。
「だから乗っている車種に関わらず、いろんな人に身に着けて欲しい。アイアンハートはバイクの楽しさとともにあるブランドなのですから。」
海外を視野に入れたとき、サイズをはじめ現地の事情に配慮したモノづくりも必要になるだろう。
しかし原木さんの考えは違うのだとよどみなく言う。
「日本で売れるモノは海外でも売れる。そう実感できるようになってからは『国内/海外』ではなく『世界』で展開するという考え方になりました。そしてアイアンハートは仕様もサイズも全世界共通でいいと。」

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WORKSの一角に昨年新設したのがダイナオガレージファクトリーとカントリーベースによるガレージ。原木さんの愛車もディスプレイ、アイアンハートのコンセプトを体現する、バイク好き、そしてアイアンハートファン垂涎の空間だ。


100%日本製を堅持するために「提携工場とは50:50の関係でありたいと考えています。例えば、前倒しのスケジュールを組んでラインが空いている時期に生産してもらう。コストダウンのためではなく、工場に閑散期をつくらないで健全に経営をしてもらうためです。こちらの都合でミシンを増やす必要があれば、こちらが投資として購入することもあります。」
そして月に3回は、自らの運転で岡山を始めとした生産工場を訪ねる。
「だからバイクもクルマも走行距離が凄いことになってしまうのですが。」と笑う。
日本は長引く不況の中にいる。しかし原木さんはそれをチャンスと捉えているという。
「今、世間はしゃがみこんで不景気の嵐が行き過ぎるのを待っている。そんな時あえて立ち上がることで、我々のように小さなブランドでも目立つことが出来ると思っています。」
自信をもって作ったモノを売っていく、パートナーに売って頂く、そしてお客様に買って頂くという姿勢はずっと変わっていない。
そして常に次のステップを見据えてチャレンジを続けてきたから、成長があり今があるのだと言う。
「いつかヘビーオンス・デニムが廃れる時がくるかもしれません。その時どうするかは、これまでやってきたのと同じように、自分自身で決めるつもりです。」

13年前の創業当時から、原木さんの哲学は変わっていなかった。
そのぶれない姿勢こそが、世界が認めるアイアンハートの魅力を支えているのだと、このインタビューを通して再認識した。

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フォースピードにオーダーした赤いレザーベストを手にする原木さん、実は今年還暦を迎えたのだ。

無類のバイク好きであり、21オンスのヘビーオンス・デニムで世界にその名を知られる『アイアンハート』の生みの親、原木真一さん。 「ジーンズとTシャツは世界共通。このアイテムで勝負し続けようと思いました。」と創業当時を語る。 それから3年が経った頃、後にかけがえのない存在になるUKのビジネスパートナーとの出会いが、世界進出の第一歩となった。


"モノづくりの中心には常にバイクがある。 バイク乗りのための骨太なブランド、それがアイアンハートです。"

★profile★
原木真一 Shinichi Haraki
佐賀県生まれ。
アパレルメーカー勤務を経て有限会社ワークスを創業、ジーンズメーカーなどのパターン製作・製品づくりを手がける。
そのかたわら、自らのブランドアイアンハートを立ち上げる。
無類のバイク、クルマ好き。

取材協力:
アイアンハート・ザ・ワークス
東京都八王子市宇津木町733-19
TEL : 042-696-3470
http://www.ironheart.jp

photo&text: Gao Nishikawa

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