鉄馬小屋とでも呼びたくなる木造のガレージをプロデュースするのは、静岡市に拠点を構える株式会社マキシ。住宅などの電気設備の設計・設置から建築業界に入り、乗り物好きが嵩じてガレージを作りはじめたという根っからの職人、代表の田中啓介氏を訪ねた。
マキシのガレージを見てまず感じるのは、細部にまで行き届いた雰囲気作りのための配慮があるということ。例えばドアの掛け金や飾り釘、そしてそれらを留めるネジ類に至るまで、ガレージ全体のイメージにマッチするパーツが厳選されている。全体にエイジングを施したなら、留め具などには軽くサビの浮いたマイナスネジを使うという念の入れよう。その徹底ぶりが凄い。
代表の田中啓介氏にお話しを聞いた。「あまり自慢できることはないのですが、いろいろなモノを見てそっくりの雰囲気で再現する才能が自分にはあると思っています。いわば複製でもあるのですが、例えば建具や看板などモノを見た時に、どう組み立てられているかを逆算して考えるんです。アメリカ文化や雑貨が大好きこともあり、現場・現物にたくさん触れて、いつの間にか『その雰囲気を再現するにはどうやったらいいか』がわかるようになったんです」
マキシ代表の田中啓介氏は44才。一緒に写っているのは「味気ない外観を木で囲い、ガソリンポンプのように仕上げました」というウォーターサーバーのカバー。工房にはこんな手作りアイテムがいくつもある。
展示用サンプルの大型ガレージにはアンティークな雰囲気の手作り看板と厳選された照明、そして金剛産業製のRoute66オーバードアをセット。
こちらも展示用サンプル。エイジングを施した木製ドアが目をひくモーターサイクル用ガレージで、オプションなしの基本価格が245,000円(税込)
錠前やネジ類なども古い物を探して取り付けるという徹底ぶり
田中氏はこう公言する。「お客様から要望をどんどん頂き、それが難しいほど挑戦したくなってしまうのです。任せて頂くのもいいのですが、お客様の希望や発想も大切にしたいし、ワガママに応えられた時の達成感が嬉しいんですね。その半面、同じ物はふたつ作りたくないという困った性分もあるのですが(笑)」
まだガレージの製作は始めたばかりだというが、経験に裏打ちされた技術、そしてセンスがその作品の中に息づいている。田中氏の好みもありアーリーアメリカンのイメージが柱になっているが、基本が木造なので自由度が高く、どんな雰囲気に仕上げるかは『お客様の要望次第』といえるだろう。マキシのこれからの展開に期待したい。
取材協力:金剛産業 株式会社(http://www.kongo-garagestory.com)
これも工房の内部。目を引くアイテムがいっぱいある。
株式会社マキシ
静岡県静岡市駿河区中原176
TEL:054-293-9000
http://garage.maxi-inc.com