米軍占領下の1950年、日本。創設が決まった警察予備隊（後の自衛隊）用として、またウイリスジープに代わる軍用車として、アメリカは小型四輪駆動車の開発を複数の企業に要請。トヨタはわずか半年で一台の試作車を完成させた。4トントラック用の直列6気筒OHV、3386ccガソリンエンジンと1トントラックのシャシーを組み合わせたそれは、当初「トヨタジープBJ」と呼ばれ、国家警察（後の警察庁）が実施した富士山6合目までの登頂を含む過酷な走行テストをパス、パトロールカーとして採用される。53年に量産開始、林野庁や電力会社納入用の他、民生タイプも生産された。「ジープ」はウイリス社の商標であることに配慮して「トヨタBJ」に、54年には「トヨタ・ランドクルーザー」とした。ちなみに警察予備隊や米軍は本家のジープを採用した。
　このトヨタBJはオートジャンクション代表の安井一郎氏が、25年ほど前に知人のガレージで発見。放置状態で不動車だったが「是非修理させて欲しい」と頼み込んで、引き上げてきた。時間をかけ丁寧にレストア・整備された現車は、現在、走行可能な状態で同社のガレージに保管されている。「レストアの過程で、隅々まで職人の手で丁寧に作られていることがよくわかった。当時開発・生産に携わった日本人の『世界に通用する丈夫なクルマを作ろう』という気概が感じられる、後世に残すべき素晴らしい一台です。ここからランドクルーザーの歴史が始まったと思うと感慨深いですね。」と安井氏は語った。