カスタムペーンター・磯部美由紀/生みだすものすべてがアートであり装飾。カッコいいかどうかがいちばん大切。

福生にある昔なじみの店『チーズ&オリーブ』の店主、長谷見さんが「面白い子がいるんだよ」と紹介してくれたのがこの人。若くしてカスタムペイントの道を志し、エアブラシ、ピンストライピング&レタリング、ゴールドリーフなどのテクニックを習得、エングレービングまでもこなすアーティスト、磯部美由紀さんだ。

 スマホカバーからヘルメット、バイクやクルマまで、カスタムペイントを施すことで自分だけの特別なものに。そんな思いで日々エアブラシを握り、マックブラシを走らせる磯部美由紀さん。

 子供の頃に夢中で描いていたのは『セイラームーン』のキャラクター。中学生になって興味をひかれたのが、街の落描きがアートに昇華したと言われるアメリカ生まれのグラフィティアート。「ポスカのインクを爪楊枝につけて、ペンケースやケータイに落描きしていたのが、たぶん最初のオリジナル作品だと思います。話しの合う女友達があんまりいなくて、男の子とばかり遊んでいました。」と笑う。まだクルマやバイクのカスタムペイントなどまったく未知の世界だった。

 高校生になってバイクに興味がわいた。「ネイキッドからアメリカン、オフロードまで、バイクはみんなカッコいいと思う。」と磯部さん。バイクを介して“Ryo’s Flame”を名乗るペインターの竹内RYOさんと出会い、その生き様のカッコ良さに衝撃をうけた。高校三年の頃からバイクで工房に通い、手伝いをしながらカスタムペイントのイロハを覚えていった。経験を積むうちに、自分の手でショーカーを作ってみたくなった。将来はカスタムショップをやりたいとも考えるようになった。そこでクルマの基本を学ぶため自動車整備学校に入学する。「ちゃんと卒業しましたが、整備士の資格は持ってるだけになっちゃいましたね。」といいながらアハハ!と笑う。

 自身がMiy-styleとして活動を始めたのは5年ほど前から。エアブラシをはじめ、ピンストライプ、レタリング、ゴールドリーフなど、ペイント全般に確かな腕をもっていることは、作品を見れば一目瞭然だ。「生みだすものすべてがアートであり装飾だと思っています。ペインターというより『装飾屋』と名乗ることが多いんです。」

 ピンストライプのシンプルな作品も個性的だが、エアブラシを駆使した深みと奥行きのあるペイントが彼女の真骨頂。作品を細かく観察すると、ベースに手の込んだ濃淡のコントラストが見てとれる。『目を凝らさないと見えない』とか『写真じゃ伝わらない』と言われることも多い。「でも現物を間近に、手に取って見てもらって、カッコいい!ってなるぐらいがいいんです。」という。作品に対するぶれない姿勢も彼女の魅力だ。エングレービング(彫金)も手がけるのは、国内のペインターとしては異色だ。とても幅広い表現方法を持っているが、そのどれもが「やってみたくなって工夫してきただけです。」とあたりまえのように言う。やってみたくなる基準は「カッコいいかどうかですね。」とシンプルだ。

 上の写真は磯部さんの作品。エアブラシやピンストライプ、レタリング、ゴールドリーフなどのペイント全般を得意とし、彫金もこなす。ゴールドのリムは、展示のためのクルーザー自転車用。パテを盛って彫刻、メッキをかけた。市販のボトルマグへのペイントも自身のアイデア。日々新しい技術や面白い表現を探求しているという。

 仕事場に近い福生のサンドウィッチレストラン『チーズ&オリーブ』によく出かけるという磯部さん。バイク好きのオーナーや常連客からペイントのオーダーをもらうことも。この日もカブのカスタムに夢中なお馴染みさんからピンストライプの相談を受け、店先で車両を前に打合せ。(写真上)

「作品はどれも自己満足なところがある。でも、自分の作品を多くの人に見て何かを感じて欲しいとも思います。だから、まずオーダーを下さる方のために一生懸命作品作りをしています。できあがりを喜んでもらえるのが何より嬉しいですから。」と満面の笑みを見せる。「カスタムカーの祭典、ラスベガスのSEMAショーに一度は行ってみたい。そして将来は、やっぱり自分のショップを持ちたいですね!」

 彼女の飽くなき探究心と、作品に対する熱い思いをもってすれば、夢を実現する日もそう遠くないだろうと、彼女の話しを聞きながら確信した。

磯部美由紀:
東京出身。埼玉県入間市を拠点に“Miy-Style”として活動。バイク好きで『2りんかん』でのアルバイト経験をもち、現在は同店舗でペイントのデモンストレーションも行っている。
バイクはスズキ刀とヤマハビラーゴを所有。
「最近全然乗ってあげてない。持ってるだけです。」
日常のアシは何とも男らしいグロリア・バン。
「ドアの塗装が剥げてきたら、下からJR西日本のロゴが出てきてビックリしました。」と屈託なく笑う。

FacebookやInstagramでも彼女の素晴らしい作品を見ることができる。

Miy-Style 磯部美由紀さんが昭島でペイントデモを実施!
1月21日(日)、東京・昭島のハーレーダビッドソン昭和の森モリパーク アウトドアヴィレッジが主体となって開催するイベント『ウインターフェスティバル』に“Miy-Style”磯部美由紀さんが参加。
当日は”KEN THE FLATTOP”、”PAINT FACTORY”とともに作品展示とペイントデモを実施。彼女の作品に触れるチャンスだ。

また、同イベントに出店するVISION STREET WEARブースには、本誌GAOが“Miy-Style”にペイントオーダーしたスニーカーも展示予定。
磯部さんはモリパーク アウトドアヴィレッジの特設会場に出展。

詳しい情報は下記をご参照。
http://orm-web.net/news/121go.php

photo&text: Gao Nishikawa
special thanks:
チーズ&オリーブ
http://cheese-and-olive.jp

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