"JAPANESE SPEED JUNKIES ON SALTFLATS 2013"/ボンネビルに立つジャパニーズたち

世界最速!

 ラスべガスにあるディーラー、ハーレーダビッドソン・レッドロックのメカニックであり自分でチューンしたハーレーで参戦しているヒロ小磯。2008年、通勤にも使っていたダイナをチューンすることで始まった彼の挑戦。5年間でAMAアメリカ記録を8タイトルとFIM世界記録を4タイトル獲得した。特に2011年の活躍は目を見張るものがありAMA、FIM合わせて6タイトル、ストリートリーガルのハーレーとしては名実共に世界最速となった。2012年は、前年までのノーマルフォルムからフェアリングを装備してLSR専用のマシンとなった彼のハーレー。2200ccのレーシングエンジンにスーパーチャージャーをセット。全米でも有数のハーレーメカニックとなったヒロがエンジンからシャシーまですべてをチューニング、フェアリングもデザインした。ファーストランから前年の記録を上回り2日目には200マイル(約320キロ)を軽く突破。しかし3日目にマイナートラブルからマシンが炎上。目標だった時速200マイルを超えること無く彼のレースは終わった。そして2013年。昨年のウイークポイントを徹底的に見直しつつ、最高出力275.65psというOHVエンジンとは思えないパワーを得た。8月最終週、初日から調子良く自己記録を更新し続け、雨のため一日遅れの最終日までにAMAナショナルレコードを2タイトル、FIMワールドレコードを1タイトル獲得。最高速度は時速214.653マイル(345.45キロ)。ハーレーとしてはストリームライナーを除く世界最速をマーク、前人未到の境地まで上り詰めたヒロは、来年も更なるスピードを目指す。彼のレコードの影には奥さんのエリンと愛娘エリのサポートがあった。10歳のエリもLSRに挑戦したいと言い始めた。親子で世界最速を狙う日もそう遠いことではないだろう。
 今年、ボンネビルを見学のために訪れた日本人も少なくなかった。彼らのうち数人は来年エントリーすると言う。彼らの活躍も今から楽しみである。

ヒロ小磯自身のオリジナルデザインによるフェアリングの中には、スーパーチャージャーで武装した2200ccVツインレーシングエンジンが。

見渡す限り真っ白なソルト・フラッツで最高速記録に挑むヒロ。

ヒロと愛娘のエリ。

 4回目のエントリーとなった水谷カズトシは、昨年までのハーレーFXRからオリジナルフレームに2000ccのレーシングエンジンを積んだマシンにスイッチ。初日からトラブルに見舞われ、リペアパーツを用意できたのが3日目。自己記録を大幅に越え166マイルを出しAMAのレコードを更新したが、自分のミスでリターンせず正式な記録は残せなかった。4日目は雨でコースクローズ。彼のチャレンジは来年に持ち越しとなった。

 ホンダCB750Fourでエントリーした本田鉄次郎。スイングアーム、ホイール等を最新パーツにしてのエントリーだったが、最新マシンと同じモディファイクラスに振り分けられ記録を残すことは出来なかった。彼も来年再挑戦すると言う。

photo&text : Taka.Masui

<プロフィール>
Taka.Masui(増井貴光)
 モーターサイクルのフィールドをメインに活躍するフォトグラファー。広告や雑誌、webメディアの仕事のかたわら年に数回渡米取材、ボンネビルをはじめ、ドラッグレースやルート66などテーマにした作品を数多く発表している。2013年12月、初の作品集であるポストカードブックを桜花出版より発行。詳しくはこちらを参照されたし!

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