アピオジムニーとともに信州のご馳走を求めて里山へ

長野を拠点に活躍するクリエーター“Tomi Tsukada”こと塚田富芳さんの初夏の楽しみ、それは『根曲がり竹』。今回は信州のご馳走を求めて、アピオジムニーと旅をする。塚田さんご夫妻とともに里山に分け入り、竹の子を採ってその場でいただくのだ。

 6月初旬のある日、僕たちは塚田さんのホームグラウンドである信州中野を出発した。目指すは木島平村にある『カヤの平高原』。30キロ弱の行程の前半は3桁国道をのんびり走る。木島平エリアに入ると、そこからは豊かな緑に囲まれたワインディングロードだ。春には雪山ハイキングに連れて行ってくれた里山遊びの達人、塚田さんが今回掲げたテーマは『信州のご馳走を求めて里山へ』。主役はイネ科の植物、チシマザサ(千島笹)、別名『根曲がり竹』だ。「信州では5月~6月にこの根曲がり竹を採って、皮付きのまま焼いたり、皮を剥いて煮物にするのがとてもポピュラーなんです。今日は私たちが竹の子とも呼んでいる、この根曲がり竹を採り、定番中の定番である味噌汁を作ります!」キビキビとハンドルを切りながら、塚田さんは笑顔でプランを語る。
180805_apio_02.jpg
本州の日本海側や東北、北海道などに広く分布しているというチシマザサ。実は里山のロードサイドにもたくさんの生えている、とても身近な存在なのである。

180805_apio_02.jpg
「カヤの平高原総合案内所」ではキャンプの受付の他、エリアの様々な情報を手に入れることができる。気持ちよく広がる標高1400mの高原は夏も快適だという。

180805_apio_02.jpg
カヤの平高原の国有林の中にあるチシマザサが群生するエリアを歩く。既に竹の子採りの季節に入っているためだろう、林道沿いの竹の子はなくなっていた。


 「カヤの平高原は標高1400m以上、牧場と広大なキャンプ場が広がる気持ちのいい場所で、チシマザサの群生地でもあるのです。まずは総合案内所に寄りましょう。」と塚田さん。このあたりは国有林で、許可がなければ竹の子採りができないのだという。デイキャンプエリアにジムニーを停め、竹の子を求めて徒歩で里山に分け入る。「笹の根元にキレイな緑色をした細長い竹の子が生えています。見つけたら根元をつまんでパキッと手折るのです。」塚田さんご夫妻と筆者の3人で力を合わせると、用意した籐カゴは一時間ほどで一杯になった。

180805_apio_02.jpg
チシマザサの中に分け入るためには長袖・長ズボンと軍手が必須。その他に塚田さんが装備するのは採った竹の子を入れるための背負える籐カゴだ。群生するチシマザサの中に分け入り、根元に生えた「根曲がり竹の竹の子」を採る。道具は不要、根元をつまんでパキッと折ってやればいい。

 収穫した竹の子は先端をカットして皮を剥く。根元近くの節など固い部分を切り落とし、食べ易い長さに切って、水をはった鉄鍋に投入する。ジムニーの傍らで塚田さんが用意してくれていた焚き火台にかけ、煮立ったら味噌と出汁を加え、さらにサバ缶を開ける。「この時期に信州で多く出回る、竹の子汁を作るための“ちょっといいサバ缶”がお薦めです。」とは塚田さんの奥様のアドバイス。完成した『根曲がり竹とサバ缶の竹の子汁』をいただく。サバ缶の旨味がたっぷり溶け込んだ味噌汁と、柔らかいけれど適度に歯ごたえのある竹の子は、素朴でありながら実に美味。鍋いっぱいの竹の子汁は、あっという間に3人の胃袋に収まってしまった。

キャンプサイトで調理を開始。「子供の頃から母といっしょにやっていました。」という奥様、皮むきや節抜きなど、その手際の良さは流石。鉄鍋を炭火にかけて、煮立ったら味噌と出汁を投入。最後に決め手となる「ちょっといいサバ缶」を入れれば「根曲がり竹とサバ缶の竹の子汁」の出来上がりだ。


 帰路、アピオジムニーをドライブしながら、塚田さんはちょっと得意げに言った。「信州の里山は、季節ごとにたくさんの楽しみがあるのです。自然の中でいただく竹の子汁も最高だったでしょう。是非また出かけて下さいね。」と。

塚田さんの愛車ジムニーは、アピオコンプリートカーTS7。日常のアシであるとともに、奥様と連れ立って信州の里山の四季の移ろいを楽しむための大切なギアだ。


180805_apio_02.jpg
塚田富芳/Tomi Tsukada
「デザインスタジオ・レオ」主宰。生まれ故郷である長野県中野市を拠点に長年ウインタースポーツにまつわるデザインを手がけるクリエーター。スノーボードがきっかけで、その原点と言えるアメリカ文化に傾倒、以来25年近く、毎年渡米、現地のポジティブな空気を作品作りにフィードバックしている。オリジナルブランド“GUTSCH WORKS”(ガッチワークス)を立ち上げ、里山遊び用のマウンテンスキーのプロデュースも行っている。愛車はハーレーダビッドソンFXDLとアルファロメオ147、そしてアピオジムニーTS7。

photo& text: Gao Nishikawa
special thanks: カヤの平高原総合案内所
APIO(0467-79-3732/www.apio.jp

Related article

関連記事