Made in japanのアメカジをつくる。THE FLAT HEAD代表 小林昌良

日本発、長野発のアパレルブランドとして、今や国内はもとより世界的な人気を誇る”THE FLAT HEAD”=フラットヘッド。その生みの親にして、筋金入りのクルマ、バイクフリーク、小林昌良さんを訪ね、お話を伺った。

 高校で免許を取得。憧れのハコスカGT-Rには手が届かず、B110サニーを手に入れ、峠やサーキットに通った。「クルマにお金がかかる、儲かる仕事をしようと20才でパブをはじめ、23才で1500万を手にしました。でも有頂天になって全てを失い、1400万の借金だけが残りました。」と当時を振り返る小林さん。心機一転、損害保険の営業で懸命に働き、3年で完済した。
 ファッションにも子供の頃から興味があった。「新聞配達のバイト代とお年玉をためて、中1で欲しかったジーンズを手に入れました。でも最初はタテ落ちの良さがわからなかった。」と笑うが、以後もヴィンテージジーンズを求めて古着屋を巡り、見聞を深めていった。
 保険の仕事が軌道にのっていた小林さんだったが、以前からの夢だった古着屋を立ち上げる。「洗濯・修理した、他にない『いい匂いがする綺麗な古着』がウリでした。」全国に知られる有名店になったが、古着を集める大変さも痛感、自分で服をつくろうと思い立つ。「いろんな服を修理していましたから、作りがわかってくる。だから自分でブランドを作りたいと思ったのです。」
 小林さんは、紡績、染色、織り、裁断、縫製など、全ての行程で細部にまでこだわり抜き、Made in Japanのナンバーワンブランドを標榜して『フラットヘッド』ブランドを生み出し、育んできた。

 「2017年は『更に進化したフラットヘッドがはじまる年』と位置づけています。20年以上積み上げてきたノウハウを生かして、良質だけど高価になりすぎない『フラットヘッド・クラブレーベル』をスタートしました。」と小林さんは近況を語ってくれた。 
 初代スカイラインGT-RのS20エンジンは、日産が必勝を期して製作したレーシングマシンR380用をデチューンしたもの。GT-R伝説はそこから始まった。小林さんとフラットヘッドの哲学を貫くことで、新しいブランドも必ずや伝説をつくってくれるに違いない。

上の写真:
小林さんがこよなく愛する、クーペとコンバーチブル、2台の1957年式ベルエアが収まるガレージで。それぞれ仕様は異なるが、いつでも走り出せる状態をキープ。愛車のナンバーはすべて”3005”。フラットヘッドの代表的なデニムの品番にちなむ。

これまでに集めた貴重なヴィンテージウェアが保管されている書斎にて。これらが商品開発のヒントになることも。

フラットヘッドの看板であるデニム。経年変化を楽しむための工夫の他、縫製にも適材適所の強度や美しさを追求している。

「フラットヘッドのTシャツは襟まわりが伸びない、引っ張っても元に戻る、だから長年着られる。それを誕生以来貫いています。」小林さんは実演しながら説明してくれた。

重ね着しても胸元がすっきり見えるようネルシャツの襟にもこだわる。上がレギュラー、下がワイドスプレッド。

小林昌良:長野生まれ。内外のアメカジ好きに絶大な人気を誇るMade in Japanのデニム、アパレルブランド、”THE FLAT HEAD”の創業者。「着る人がヒーローになれる服をつくること」がモットー。
「クルマもバイクもヒーローになるための道具なのです。」と小林さん。それらを身につけて遊びに行ける場所として、アメリカンダイナーやイベントのプロデュースも手がける。

小林さんの愛車たちとも対面。下の写真をご覧頂きたい。オフホワイトのボディーにフラットブラックのフードはシボレー・シェベル。自身も若い頃に憧れたという日産の名車、フェアレディー240ZGと510ブルーバードもコレクション。バイクは現在、ハーレーダビッドソンのフラットヘッドエンジンを搭載するボバーと、現行のフォーティーエイトを所有。最新のポルシェもお気に入りの一台。「凄く速いのに気軽に乗れて、楽しいクルマです。」と笑顔になる。もちろんすべてランニングコンディション!

photo: Kazumasa Yamaoka
text: Gao Nishikawa
special thanks: The Flat Head(026-275-6666/http://tfh.flat-head.com

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