ハーレーダビッドソン初のアドベンチャーモデルでロードトリップに出かけた。新エンジン、水冷Vツインの”Revolution Max 1250”搭載の“パン アメリカ 1250 スペシャル”に乗って、ハイウェイを中心にワインディングもあわせて720キロほどを走った。
“パン アメリカ 1250 スペシャル”の、既存のどのモーターサイクルにも似ていないルックスに目を奪われた。個性的なフロントフェイス、大きなフューエルタンク、そしてオプションのアルミ製パニアケースが装着された大迫力の佇まいに圧倒された。しかし、イグニションをONにして跨ると座り心地のいいシートと低い重心、車高の自動調整機能の恩恵もあり、ガラッと印象が変わった。日中は渋滞を避けることができない都心の路上でも、こいつは今までに乗ったどのハーレーよりも軽快に感じられた。そして数日後に控えたロードトリップがとても楽しみになった。
パン アメリカ 1250にはスタンダードとスペシャルの2モデルがあるが、共通するのはフレームやエンジン、容量20Lのアルミ燃料タンク、ハンドル中央の6.8インチディスプレイ、走行モード切り替え、ABSやトラクションコントロールを装備していること。これらに加えスペシャルには、コーナリング時のリーンアングルにあわせて照射範囲をコントロールするアダプティブヘッドランプ、グリップガードやエンジンガード、グリップヒーター、ステアリングダンパー、スポークホイールなどが奢られているが、特に注目すべき専用装備がアダプティブライドハイト、前述の車高調整機能だ。これはサスペンションが自動で可変、停車時にはシート高が約50ミリ低くなり、足つきをよくしてくれるというシステムだ。
出発の朝は絶好のロードトリップ日和だった。着替えやカメラ機材、ノートPC、スニーカーなど、かなりの量の荷物を収納してもなお余裕があるパニアケースを閉じて都内を出発。発進時のトルクが若干細く感じるが、走り出せば意のままに力強く加速してくれる。西に向かうハイウェイにのってスロットルを開けると、大きな車体があっという間に制限速度に達した。時速80キロでの回転数は3,000rpmほど。直進安定性が素晴らしく、追い越し加速も俊敏だ。交通量が減ってきたところで走行モードをロードからスポーツに切り替えてみる。柔らかめだった足回りが引き締まり、ピックアップが鋭くなってエンジンブレーキも強くかかる。カーブが続く山間部ではスポーツモードが楽しいし、クルージングならロードモードが快適だ。
ハイウェイをおりて地方都市の交通量が多くストップ&ゴーが頻繁な国道を行く。そんなシーンでも低い重心と車高調整機能が高い安心感を与えてくれた。渋滞時などにラジエーターの電動ファンからの熱気を感じることがあるので、僕は厚手でしっかりした作りのライディングパンツをチョイス。これで一段とアドベンチャーツーリング気分が盛り上がるというものだ。
これまで親しんできたハーレーダビッドソンとはコンセプトをはじめ色々な意味で大きく違うモーターサイクルではあるが、どこまでも走っていけそうなすこぶる良好な乗り心地や豪快なトルク、気持ちいい鼓動感などからは、そこはかとなくハーレーらしさを感じることができた。そして、パン アメリカの名前の通り、アメリカ大陸の地平線まで続くフリーウェイを、そしてローカルハイウェイ・ルート66を、このモーターサイクルとともにロードトリップしてみたいと、強く思った。
大きなタンクやライトカウル、車高などによってとても大柄に感じるが、車重は258キロとスポーツスター並み。バッテリー位置を工夫するなど低重心化を徹底、跨ると意外なほど軽く感じる。アダプティブライドハイトにより足つきがよく、ライダーや荷物の重さ、走行モード、車速などによって足回りが自動制御される。停止前に車高が下がるが、その動きはスムースだ。
日本語対応の6.8インチのタッチパネルでロード/スポーツ/レイン/オフロード/オフロード+など走行モードが選べる。ABSやトラクションコントロールなどとともに全車に標準装備。
左右グリップのスイッチ類も全く新しいもの。左はクルーズコントロールやグリップヒーター、メニュー画面の操作スイッチ。右にはイグニションスイッチ、走行モード切り替え、ハザードなどのスイッチ。ウインカースイッチは左側のみに備わる。
ウインドスクリーンは高さ調整可能。アダプティブヘッドランプ、グリップガードやエンジンガード、ステアリングダンパーはスペシャルの専用装備。
倒立フォークに取り付けられたフロントのダブルディスクにはブレンボ製のモノブロック4ポッドキャリパーを装備。コーナリング対応のABS付きだ。
2りんかんでパン アメリカ 1250に触れる!
2りんかん店頭で、ハーレーダビッドソン初のアドベンチャーモデル、注目のパン アメリカ 1250の車両展示、試乗会を実施中。詳細情報は2りんかんのホームページをチェック!各店舗での開催情報などが随時更新されます。
https://2rinkan.jp/event/hd_event/
photo&text: Gao Nishikawa
取材協力:Harley-Davidson Japan(0080-080-8080/www.harley-davidson.com)