NASCARドライバー尾形明紀監修「NASCARの基礎知識」コクピット編

オンザロードマガジン本誌連動コンテンツ「NASCARの基礎知識」。今回は「NASCARドライバーの仕事場」であるシートやコクピットについて、現役日本人NASCARドライバー尾形明紀に解説してもらおう。

我々日本人のクルマ好き、レース好きの常識からすると何もかもが異なるNASCAR。今回は映像などでもなかなか見ることが出来ない、レースカーのコクピットの中身をご紹介する。

SEAT(シート)

ストックカーレースでは、アルミニウム製(またはカーボンファイバー製)で頭部を含めた全身を包み込むような形状のシートが採用されている。6点式の幅広いシートベルトとともに、ドライバーに安全と大きな安心感を与えてくれる。NASCARでは、レースで使用するパーツや用品の安全性をテストするSFI(SFI Foundation Inc.)の基準をクリアしているエキップメントを使用する義務があり、このシートもSFI基準適合品だ。

COCKPIT(コクピット)
NASCARでは安全性を確保する目的でサイドにも頑強なパイプフレームが組まれているため、ドアがなく窓から乗り降りする。

コクピットの中は何本ものパイプによってロールケージが組まれる。これによって時速200マイル(約320キロ)での派手なクラッシュでもドライバーは大怪我をせずにすむのだ。

本誌GAOがNASCARのトップチーム、ヘンドリックモータースポーツを訪ねた時のスナップで、レースカーの実車をベースに作られたカットモデルに乗り込んでみた所。こんなふうにステアリングを抱え込むポジションが一般的。

NASCARは伝統的に写真のように大きなステアリングが使用されているが、車両の性能向上にともない、近年は小さいステアリングを好むドライバーも多い。
写真下左:ドライバーズシート側には窓ガラスがなく、代わりにベルト状の難燃素材で作られたネットが張られる。トラブル時にドライバーの身体が外に出ないよう、そして破損・飛散した部品などをシャットアウトする安全装備。もちろんSFI基準適合品。




Akinori Ogata
尾形明紀(おがた・あきのり)
14歳でモトクロスバイクをはじめて以来のレー人生。ミニカーがきっかけでNASCARの世界に、国内のミジェットカーレースを経て03年にNASCAR初参戦。10年には本場ノースカロライナ州に移住、NASCARドライバーとして日々奮闘中。
2014年もENEOS MOTOR OIL USAなどのサポートを受け、NASCARナショナルシリーズへの参戦も視野に入れ、K&Nプロシリーズ・イーストに参戦。2014年3月15日、テネシー州ブリストルで開催された尾形にとっての初戦であるPittLite125では、想定外のトラブルにより予選不通過となってしまった。4月に参戦予定の次戦での活躍に期待したい。

構成:GAO NISHIKAWA
監修:尾形明紀
http://www.akinoriogata.com

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