松原好秀の On The Street Burger "Tequila's Diner" [静岡]

静岡駅前の繁華街、七間町(しちけんちょう)にある「Tequila's Diner(テキーラダイナー)」の店主テキーラ氏は中学生で野宿に目覚め、高校で国内バックパッカー、卒業とともに海外へ渡り、シンガポールで麻薬の運び屋に間違われて国外退去を命ぜられたのを皮切りに、インドネシアで詐欺被害、有り金すべてを失った後、パプアニューギニアでマラリアに倒れたりと、決死の放浪旅を経験したツワモノである。

オーストラリアではケアンズの南約100kmの町・イニスフェイルにある肉牛解体工場で日雇い労働。新入りは内臓を漂白剤で洗う作業から。
ダメな人は一切ダメ。
気が遠くなるほど単調でヘヴィな作業だったが、その分給料がよく、ひと月半ほどで帰国の費用を稼いだ。
この仕事で牛の捌き方を学ぶ。

日本に戻るも資金を貯めて再渡豪。
今度は四駆を買って4ヶ月かけ、豪州大陸一周旅。
買ったのはホールデンのジャッカルー。
買った時点で走行30万キロ。
車検がないので直しながら乗り、エンジンが3000回転以上になるとオイルが噴き出すので足しながら走る。
「70リットルのサブタンクも付いてて、ガソリンは150リットル持って行ける。それでも往復千キロぐらいスタンドがないオフロードでガソリンが無くなると、次の人来るまで下手すりゃ二週間」「隣町まで400キロって『あ、近い』って思いますもんね」。

冒険の末、西部の大都市・パースに落ち着き、フレンチをベースにしたレストランに勤務。
「テキーラ」のあだ名が付いたのはこの時。帰国後はなんと静岡で「左官」に。一人親方として身を立てるか悩んだ末、飲食へ。
「Thirsty Tequila's」を経て2010年テキーラダイナーオープン。工事には左官時代の仲間が大挙集結した。

なにしろ世界的産地・豪州で肉牛の捌き方を学んだ男。腕が違う。
扱いが違う。炭火で焼いたステーキ3品はじめ、ショートリブ、スモークほか肉類豊富。
バーガーメニューは25品。ステーキもバーガーもまず表面を強く焼き、後は余熱でじっくり焼き上げ。
中は真っ赤。
こぼれんばかりのレア感・シズル感だ。

そんな極上のグリル料理を助けるライス、"米"を、本誌読者にはおなじみ「安東米店」が卸している。洋食に合うよう吟味したブレンド米のおいしさを人気メニュー「ダーティーライス」でぜひご堪能いただきたく。

豪州帰りの男が食べさせる"真っ当な肉"、そしてコメのプロが選ぶ相性抜群のブレンド米――コノ店には静岡の「アツく」て「ウマい」ものが集まっている。

今回のバーガー
店名を冠したテキーラバーガー1,400円は正体ベーコンエッグチーズ。役割・機能の異なる米豪5種類の部位を組合わせた113gパティを炭火で焼いて、中は真っ赤。レアステーキのようなリッチなおいしさ!

― shop data ―
所在地: 静岡県静岡市葵区七間町8-6 ACTビル1F
アクセス: 東名高速・清水ICより12分
駐車場: 近隣にコインPあり
TEL: 054-255-7595
* 営業時間 *
営業時間: 12:00~14:00LO, 18:00~24:00
定休日: 原則無休(要確認)

松原好秀 まつばら・よしひで
ハンバーガー探求家。アドバイザー。
首都圏ハンバーガーショップのガイド本『THE BURGER MAP TOKYO』の出版ほか、国内唯一の評論家として活躍中。
http://www.hamburger.jp/

text: Yoshihide Matsubara photo: Yoshihide Matsubara, Gao Nishikawa

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