アメリカの味を知る店と、その祭典
アメリカ料理の多様性や楽しさを分かち合い、日本における"アメリカンフード・ファン"のコミュニティづくりを応援するイベントが、この秋開催される。主催はアメリカ大使館農産物貿易事務所。10月1日〜14日を中心に、都内外140店の"アメリカを愛する"レストランで、アメリカの食材を使った個性豊かなメニューを提供するレストランイベントである。
そんな食の祭典にこそふさわしい店のひとつが、この「CaSTLe ROCK(キャッスルロック)」だ。店主・穂積さんは10年半アメリカに暮らし、うち4年は現地のレストランでコックをしていた人。高校の途中から大学卒業まで6年留学。帰国後、今度は奥さんの転勤で、マンハッタンから車で5時間、ニューヨーク州第3の都市"Rochester(ロチェスター)"に4年半を過ごした。このロチェスターはボシュロムやコダックが本社を置き、ゼロックスの創業地でもある光学の街で、人口20万の小都市ながら富裕層や出張者向けの飲食店・宿泊施設が揃っている。穂積さんが勤めていたのはそんな"オシャレ"なレストラン。最初の店はバーもある巨大なフュージョンレストランで、前菜や魚料理、デザートを担当。日本人コックは穂積さん一人。だから寿司も巻いた。2店目はもう少し地元向けな、でもやや高級なワインレストラン。朝出勤するなりピザ窯用の薪割りからやらされた。そんな現地の店で覚えた
ベビーバックリブやTボーンステーキ、ルーベンホットサンド、発祥の地"Buffalo(バッファロー)"の味を再現するバッファローウィングなど、本場仕込みのアメリカ料理の数々と、何より積んだその経験とが、キャッスルロックの確かな"リアリティ"になっている。
今夏、キャッスルロックは一層「肉」の店になった。パティのサイズを120g(¼lb)•180g(⅓lb)•240g(½lb)の3種類に増。肉はUS産のアンガスビーフ。グレードはチョイス。ブロック肉から自前で挽いて直火でじっくりグリル。適度に脂の混ざったアンガスらしい上品な赤身の味わいが、ズシリと確かに押し寄せる。味付けに頼らない、誠実な、偽りの無いおいしさだ。この品質とサイズでこの値段は、都内でも稀少。
新宿に移転したのはこの夏のこと。それまで5年半、千葉・南行徳で営業していた。店名は穂積さんが高校留学より6年を過ごした町の名より。コロラド州はデンバー近郊の町、"Castle Rock(キャッスルロック)"という。
— shop data —
所在地: 東京都新宿区新宿3-8-9 新宿Qビル2F
アクセス: 都営・東京メトロ 新宿三丁目駅C5出口より歩0分
駐車場: 通り沿いにPメーターあり
TEL: 03-3356-6078
営業時間:11:30〜22:00LO(ランチ15:00LO)
定休日: 月曜日(祝日営業。要確認)
(プロフィール)
松原好秀 まつばら・よしひで
ハンバーガー探求家。アドバイザー。コンサルタント。ハンバーガー専門誌『HAMBURGER STREET』、国内初の本格的ハンバーガーガイド『THE BURGER MAP 首都圏版』を出版。http://www.hamburger.jp