【東京・浅草橋】デニム・バッグのリペア職人

レザージャケットやジーンズをはじめ、各種アパレル、バッグなどの小物のリペアを手がける職人が全国にいる。そんな職人たちを紹介しながら、修理やクリーニングなどの相談ができる “Repair929.com”(リペアクリーニングドットコム)というwebサイトがある。その仕掛け人であり、本誌vol.59にご登場いただいたリペア職人の山崎隆正さんのご紹介で今回訪ねたのは、東京の台東区・浅草橋で“jeans704”、“アトリエ革作”を主宰、リペア職人として腕を振るう川畑誠之さんだ。

 好奇心とともに基礎をしっかり学び、それを自分のものとして徹底的に突き詰める。真面目でまっすぐな性格の職人とお見受けした。実家は東京・三田で100年以上続く老舗クリーニング店。そんな環境に育った川畑さんだが、あえて菓子づくりを学びパン職人として10年を過ごした。その後実家に戻りクリーニング店の工場長として働くようになるが、バッグなど小物のリペアのニーズの多さに着目し、仕事のかたわらバッグメーカーの職人養成学校に通い始める。その後バッグ職人の元で一年間修行、クリーニング店の中に修理窓口を設けるまでになった。今日までにバッグを含むレザー製品やジーンズなど、いわゆる厚物を中心にリペア職人として10年以上のキャリアを積んできた。
 今回お邪魔したのは独立した川畑さんが一年前にオープンした浅草橋の工房。「この周辺には材料の問屋さんがたくさんあって、職人にとってありがたい場所なんです。」

一人で切り盛りしている工房の中には20台を超える新旧様々なミシンがある。「いい出物があると、とりあえず手に入れてしまいます。用途を特化したミシンもあり自然と増えてしまいました。」と笑うが、そのほどんどを日常的に使っているという。「アメリカ製の旧いミシンは、ヴィンテージジーンズを修理する時に重宝しています。使用頻度の高いミシンは複数台持っていて、糸色ごとに使い分けています。糸を交換する時間がもったいないので。」現在月平均で200本ものリペアをこなすジーンズは、本誌vol.59にご登場の『衣類のお医者さん チャムさいたま』山崎さんの勧めで本格的に始めたという。
「素晴らしい出会いとご縁に恵まれてここまできました。」と川畑さん。そのキャリアから、そしてジーンズに加え毎月数十本のバッグリペアもこなすというお仕事ぶりなどから、職人・川畑さんの謙虚かつストイックなお仕事ぶりが伺えるのだった。

これは1950年代アメリカ製、ヴィンテージジーンズファンに喜ばれるというユニオンスペシャルのチェーンステッチ用ミシン。「精度がよくないからこそ、縫い目に独特の味わいがあるのです。」と川畑さん。

取材に合わせ川畑さんの元を訪れたのは全国各地で活躍する“Repair929.com”の職人たち。右から二人目が、メンバーから“師匠”と慕われている山崎隆正さん

川畑さんも参加する"Repair929.com"は、リペア職人検索サイト。デニムをはじめ、あらゆる衣料品、バッグなどのリペアやリメイクについてのお困りごとを解決してくれる。「お気に入りのワードローブが破れてしまった、ファスナーが破損したけれど、そのままにしている。」そんな時、全国の腕利き職人が、相談・オーダーを受け付けてくれる。写真のようなデニムの穴あき修理「大穴(ダイアナ)リペア」も好評だという"Repair929.com"。要チェックだ!

photo&text: Gao Nishikawa
取材協力:
jeans704 http://j704.kawa39.com
アトリエ革作 http://kawa39.com
03-6876-4821

Related article

関連記事