株式会社2りんかんイエローハット代表取締役社長、石渡淳さんインタビュー 『すべてのライダーのために、リアル店舗にこだわる』

ライダーにお馴染みのオートバイ用品店『2りんかん』。その前身はカー&バイク用品店『ドライバースタンド』のバイク用品コーナーだったが、ニーズの高まりとともにバイク専門店として独立。『ドライバースタンド2りんかん』として、グリーンの看板とともにライダーに親しまれる存在になった。
2012年、同社は『イエローハット』の傘下に入り、ほどなくカー用品事業を譲渡。ドライバースタンドは、社名にのみその名を残していた。それから5年半が経った今年4月、同社は満を持して社名を『株式会社2りんかんイエローハット』にあらためた。2りんかんのこれまでとこれからについて、その代表である石渡淳さんにお話しを伺った。

上の写真は、石渡さんと愛車のハーレーダビッドソンスポーツスター48。同社の本部がある「和光2りんかん」にて。

「2りんかんのルーツは大沢商会が1978年に立ち上げたカー&バイク用品店、ドライバースタンドです。手本にしたのはアメリカの大手カー用品チェーン『ペップボーイズ』だと聞いています。私が入社したのはその4年後でした。取り扱っていたヘルメットや革つなぎ、マフラーなどのバイク用品・パーツを、カー用品としっかり区別しようという動きを始めたのは1983年。当時バイク用品の売上は全体の2割程度でした。」その後、資本が建設ファスナー社、大西衣料と変遷する中でも、バイク用品事業は堅調に推移。売上の構成比が4割を越えた2000年に、ドライバースタンドのバイク用品コーナーから『2りんかん』として独立した業態になった。
「『諸事意を以て先とし、意を主とし、意より成る。』すべてのことは、思い続けて、それに向け行動すれば思い通りになる。これが私の座右の銘であり、公私ともに心がけていることです。」そう言いながらポケットから出したのは、5年前に石渡さんの発案で制作、以来全社員に配布しているという四つ折りの小さなカード。表紙のタイトル“CREDO”は、『信条』や『志』を意味するラテン語だ。中には2りんかんの企業理念、存在意義、基本方針、人事理念、そして行動理念が簡潔に記されていた。まさに石渡さんの『思い』を可視化したカードであり、同社の経営計画もこの内容をベースに作られているという。
『存在意義』のページにある『お店はライダーにとっての駆け込み寺であること』という項目について、石渡さんはとりわけ丁寧に説明してくれた。

「駆け込み寺と言う以上は、ライダーのご近所にお店がなければいけない。現在55店舗を展開していますが、今後も増やしていきます。車両販売店の数は減少傾向にあり、ネットオークションで個人から車両を購入するライダーが増加している時代。バイク用品店ならではの親しみ易さを生かしながら、きめ細かいサービスをご提供することが、我々の使命だと考えています。」
ピットサービスの充実とともに5年前から注力しているのが車検だ。
「当初は全店で500台程度だったものが、今では年間8,000台以上の車検をお引き受けするまでになりました。」
サンダンスとのコラボレーションにより実現したハーレー専用サスペンション『トラックテック』の取り付け、輸入車ユーザーに対してのサービスも強化している。各店舗と連携してツーリング、ライディングレッスン、サーキット走行会やレースを開催。また車両・パーツメーカーなどバイク業界とともに、西と東それぞれのエリアで10,000人以上のライダーを迎えて開催している『2りんかん祭り』も顧客との大切な接点だ。

(写真・左上)ピットサービスの充実とともに注力している車検は、昨年度全国で8,000台以上を手がけた。この実績は5年前の実に16倍以上にあたる台数である。
(写真・右上)ハーレーライダーに向けた取り組みも強化している。昨年からサンダンスのサスペンション「トラックテック」の取り扱いを始めたのもその一環だ。
(写真・左下)全国の2りんかん店舗と連携、ツーリング、ライディングレッスン、サーキット走行会やレースなど、走りのイベントも積極的に開催している。
(写真・右下)「2りんかん祭り」は、東西各10,000人以上のライダーで賑わう。今年のWESTは開催済み、EASTは8月25日(土)山梨「ふじてんリゾート」で開催。

「会社名を変えたかったのは、『2りんかん』の名前が広くお客様に周知されていると実感できるようになったからです。基本的な企業理念は何も変わりません。現場のスタッフがいい仕事ができる環境づくりにも気を配り、各地域のライダーのニーズにきめ細かくお応えしたい。ネット流通全盛と言われる時代にあって、全国に店舗展開している2りんかんの強みを最大限に生かしながら、これからもリアル店舗のビジネスにこだわっていきます。」と石渡さんは笑顔で語ってくれた。

(写真)「2りんかん」の店舗は「ライダーにとっての駆け込み寺」を標榜、現在全国に55店舗を展開。写真は本部も併設する埼玉県の「和光2りんかん」。

石渡 淳(いしわた・じゅん)
神奈川県横須賀市生まれ。高校生時代からバイクの魅力に惹かれていたが、「2りんかんのスタッフのようにマニアックではありませんでした。」と笑う。1982年にドライバースタンド入社。ドライバースタンド多摩店の店長をはじめ要職を歴任。経理以外のほとんどのポジションを経験したという。2009年、代表取締役社長に就任。40代半ばで大型自動二輪免許を取得、現在はハーレーダビッドソン・スポーツスターに乗る。生粋のマリンスポーツ好きで、長いサーフィン歴をもつ。数年前から夢中になっているのは、パドルを手にサーフボードに乗るSUP=スタンドアップパドルだという。

photo&text: Gao Nishikawa
special thanks: 株式会社2りんかんイエローハット(https://2rinkan.jp

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