埼玉県の『和光2りんかん』で長きに渡りカスタムパーツ担当一筋、2りんかんで1、2を争う『スペシャル販売員』にして、カスタムとチューニングの生き字引、それが狩野修(かのう・おさむ)さんだ。
幼稚園児の頃から自転車好きだったという狩野さん、小学校6年生の時には友人と清瀬市にある自宅から川越まで、片道20キロほどの道のりをツーリングしたそう。「自分の足で遠くに行けるのが楽しかったのです。」メンテナンスも自分でやった。
「オイルをさしてやると動きが変わるのが面白かったんです。」と笑う。その感覚はいまでもそう変わっていないとか。中高生の頃にはマウンテンバイクに深くハマった。17才で原付免許を取得、まずは兄上のお下がりのスズキギャグに乗る。はじめは恐怖だった速さにも慣れ、行動範囲広がって楽しくなった。高3で友人からNS-1を譲り受け、ここから仲間と一緒に改造に没頭する。カスタムよりもチューニング派、チャンバーを取り付け、キャブをいじった。地元に近かったドライバースタンド多摩店、所沢店のバイクコーナーにも通い、当時からスタッフだった『バイク好き列伝!File.02』に登場の菅野貴さんにも世話になったという。
高校卒業後は池袋の情報処理の専門学校に入学。自宅から約15キロの道のりを、雨でも雪でも(!)愛車のNSRで通っていた。
「今も移動はバイクが基本です。悪天候でも楽しんでしまうMな性格なんです(笑)。」パソコンにも興味があって選んだ学校だが、卒業する段階になっても、やはりバイクへの思いを断ち切ることはできず、バイクに関わる仕事につきたいと思った。結局バイク買い取り専門会社に就職。そこを半年ほどで退職し、馴染みのドライバースタンド所沢店にアルバイトとして5年ほど勤務。そのまま就職することになり、最初に配属されたのが和光2りんかんだった。以降カスタムパーツ担当一筋で今に至る。
現職は自分の希望であり、おおいに楽しんでいると語る狩野さん。レプリカブームからTWやビッグスクーターブームへの変遷をリアルに経験しながら、自身のバイク趣味も加速、一時期は愛車が8台にもなってしまったとか。現在はXR100モタード、シグナス、そして大好きなNSRを所有。もちろん今でも自分でカスタムやチューニングをこなす。
「時代ごとにいろんなカスタムを見て、経験してきたことは僕の一番の強みです。和光2りんかんのカスタム、チューニングコーナーの品揃えは、すべて自分が担当しています。どのエリアも専門性が高いのが自慢です。」
同店にはパワーチェックの設備・機器も整っており、狩野さんは週末は一日4~5台、年間数百台ものバイクの診断を行っているという。
「7年もやってますが、来て下さるのは一般のお客さんだけでなく、近所のバイクショップやカスタムショップの方、レースをやっている方などさまざま。おのずと人の繋がりや知識がどんどん増えていくという、とても恵まれた環境だと思っています。」 しかしこの状況に甘んじることなく、これからは、もっと自分から発信をしないといけない時代だ、と狩野さんは言う。
「人が憧れて、『自分もやってみたい!』と思ってもらえるようなカスタムのお手本を作っていきたいですね。カスタムを通じてバイク文化を、業界を活性化させ、広げていくのが私の使命だと思っています。」
大排気量のバイクの魅力にも触れてみたいと近年になって大型免許を取得、2りんかんで取り扱っているレンタルバイクを利用して、いろいろ乗り比べている。休日は奥様とタンデムツーリングに出かけることもあるという。仕事も趣味もバイク一色、『2りんかん屈指のスペシャル販売員』の名はダテじゃない。そんな狩野さんだが、個人的にはNSRを越える魅力的なバイクにはまだ出会えていないとか。
「軽い、速い、車検がない。僕にとって最高のバイクはNSRです!」と笑った。
オートバイ用品専門店
ライダーズスタンド 和光2りんかん
埼玉県和光市下新倉5-11-1
営業時間:10:30~20:00
TEL: 048-452-6290
photo&text: Gao Nishikawa
取材協力:
ライダーズスタンド2りんかん
http://driverstand.com