『ドライバースタンド』でのカー用品を皮切りに19年間、販売の第一戦で活躍、現在は『2りんかん』本部商品部でマーチャンダイザーとして、ユーザー目線でさまざまな提案を行っている
原伊佐雄(はら・いさお)さん。その内に秘めた熱い思いを伺った。
V-MAXをはじめ、様々なバイクを乗り継いできたというが、「僕は今まで紹介されたスタッフと違い、そんなにコアなバイク乗りじゃないのです。でも、彼らよりも一般的なバイクユーザーに近いと思っています。」とクールに語る原さん。
関西エリアの『ドラバースタンド』で店長を含め10年以上勤務、カー用品を取り扱った後、『住之江2りんかん』から二輪用品の道へ。
『西宮2りんかん』、西日本のエリアマネージャーを経て昨年4月から現職に就いた。
「19年の社歴の中で、関東への異動・転居は大きな出来事です。こっちはいろんなお店があるし、イベントも多くて楽しみが尽きないですね。ただ人が多過ぎるかな(笑)。」
現在の原さんの役割りは、2りんかん各店舗で取り扱う様々なブランド、商品の選定と購買、そして『モーターヘッド』ブランドなどのオリジナル商品、具体的にはヘルメット、ウェア、プロテクター、シューズなどの企画開発、店頭と連動した様々なPRの企画など幅広い。
しかしその根幹は、お客様に最も近い店舗のスタッフが、より良い環境で仕事ができるように、何が用意できるかを考えることだという。
「カー用品店に来店されるお客様の多くは消耗品・必需品を求めて来店する。それに対して二輪用品店には、自分の趣味を楽しむために、面白い何かを求めて来店されるお客様が中心。ですから2りんかんのお店づくりには、提案型のビジネスという感覚が必要になる。購買やオリジナルブランドの商品企画では、デザイン・機能・価格のバランスを考え、店頭ではバイクに乗ることの楽しみを表現するために何ができるのかを考えるのです。」
コーナーごとの棚割りによるVMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)、すなわち陳列する商品をプライスだけではなくPOPやモニターによる映像なども活用しながら表現してゆくことなどを、店舗ごとではなく本部として企画提案、楽しい売り場を作っていく。これも原さんの重要な役割りなのだ。
取材はオープン直前の準備が進む『美女木2りんかん』で行われた。どの店舗も2りんかんとして同じ見え方になるように、パッケージで展開するのが基本だという。その中で、少しだけ店舗ごとの特徴を出していく。これを原さんは「ピンポイントの遊び」と表現する。
「美女木2りんかんでは、ヘルメットとウェアを多めにしています。これは近くにある既存店舗『和光2りんかん』との差別化も意識しています。『ハードパーツが強い和光』『ソフトに強い美女木』といった具合に。」
さらにピンポイントの売り場企画として、バイクでツーリングキャンプに行くお客様のためのアウトドア用品コーナーを作っているという。「まだ試みの段階ですが、バイクでの持ち運びに便利な軽量コンパクトで使いやすいアウトドア・アイテムを厳選しました。」これもまさに提案型のお店づくりなのである。
アパレルをはじめとしたオリジナルの商品企画・開発は、現職に就いて初めて経験する領域だ。
「お客様のニーズにどうお答えしていくかが肝心だと思っています。バイク用品ですから、安全性に対する万全な配慮は絶対に譲れないポイント。これからも基本を大切に、高品質で高い信頼性のおける商品を作っていきたいと思います。」
その上で、今後取り組んでいきたいテーマがあると言う原さん。それは『バイク乗りはダサイ!』という概念を払拭することだという。
「昨年初めてEICMA(エイクマ/毎年ミラノで開催されるモーターサイクルショー)に行き、海外のバイク業界、バイク乗りのファッション製の高さに驚きました。そして、たくさんのヒントを見つけることができました。」と原さんは語る。
2りんかんは自分にとって「思いをカタチにできる場所」だという。
「若者が憧れるような、カッコいいオトナのバイク乗りを増やしたい。」という思いも近い将来カタチになっていくだろう。
オートバイ用品専門店
ライダーズスタンド2りんかん
http://driverstand.com
photo&text: Gao Nishikawa
取材協力:
ライダーズスタンド2りんかん