新年の取材初め、東京オートサロン2019に行ってきた。
このイベントの前身である「エキサイティングカーショー」は、80年代初頭にスタートしたレーシングカーと改造車の展示イベント。全国のレーシングカーチューナーや、チューニングショップが中心に出展、誤解を恐れずに言うなら、ちょっとアウトローなイメージが漂うイベントだった。もちろん僕を含めた若者たちがこぞってクルマに夢中だった時代故、会場となった晴海エリアはたいそうな盛り上がりを見せていたことを思い出す。
名称が「東京オートサロン」になって久しいが、近年では自動車メーカーも積極的に出展、モーターショーに迫る質の高いイベントに成長したといえるだろう。
1月11日金曜日の初日午前中、一般公開前の限られた時間に駆け足で会場を巡ってきた。
業界・報道関係者招待と言われる時間帯ながら、昨年以上のにぎわいで会場はすでに熱気に包まれていた。海外からのゲストも年々増加している印象だ。
このイベントのために、メーカーや全国のショップが手塩にかけたカスタムカーがひしめく中、毎年楽しみにしている展示の一つが、自動車整備やカスタムを専門に学んでいる、自動車大学校、専門学校の学生たちが手がけたカスタムカーたちだ。自由な発想で作り上げた荒唐無稽で楽しいカスタムもいいが、ここでは若いパワーが作り上げた、しかしオヤジ心もくすぐるコンセプトのクルマたちにフォーカスしてみた。
かつて日本のモータースポーツ黎明期を彩ったストックカーを彷彿とさせる、オールドスクールな仕上がりの「日産セドリック230」は、「"TAUS"東京自動車大学校」の力作。『先生が買ってきたベース車』とのことで、オヤジ世代の意向も反映されたカスタムなのだろうが、リアルオヤジも納得のパーツ選びや丁寧な作りに感激した。
静岡工科自動車大学校の作品は、タクシーでお馴染み「トヨタ・クラウンコンフォート」がベースながら、かつて一世を風靡したグループ5のレーシングマシン、通称「スーパーシルエット」をイメージした意欲作。深リム加工されたスチールホイールや、レーシングエンジン風にカラーリングされたノーマルエンジン等、細部にもニヤッとさせられるポイントがいろいろだった。
今回のオートサロンで恐らくトップクラスの出展数だった新型ジムニー。中でも"NATS"が手がけたジムニーは、凝った足回りや外装のモディファイも目をひいた。オンザロードマガジンがさらに注目したのは、このジムニーは牽いていたトレーラー。アメリカのカーゴトレーラーやエアストリームをモチーフにしたと思われるエクステリア、そして室内はメンテナンスも可能なモーターサイクル用トランスポーターになっているところがいい!
廃車予定だったというエルフをベースに製作されたアグレッシブなルックスのいすゞエルフは、福島県理工専門学校の作品。オリジナル製作されたリアベッドと積載されたロングホイールベースのズーマー、スチールのような肌を再現したキャビンの塗装、スポーツカーのように仕上げられた内装など、見所満載。あまりの驚きに撮り忘れてしまったエンジンはシボレーのV8!流行の軽トラ・カスタムもいいけれど、ちょっと旧い2トンや4トントラックも面白いかも、と思わせてくれた。
photo&text: Gao Nishikawa