ジャンルにとらわれない個性的なシルエットをもつ、キビキビと軽快に走ることに主眼を置いたファン・トゥー・ライドなバイク。
それが、スポーツスターファミリーのニューモデル、ロードスターに対する僕なりの第一印象だ。
思いきりよく低いハンドル、そしてリアにセットされた長めのサスペンションのおかげで、スポーツスターの定番であるアップライトなポジションから比べると、ずいぶん前傾姿勢な印象。
しかしステップ位置がミッドコントロールのままでも決して窮屈ではない。
グリップに手を伸ばすと軽く背中を丸めることになるから、ライダーが跨がった姿がコンパクトでカッコいい。
ハーレーダビッドソンのスポーツスターファミリーから生まれたニューモデル、ロードスター。
走らせてみると、その乗り味は見かけほどスパルタンではなく、スポーツスターらしいマイルドさをしっかりと継承している。
走りを意識した専用のコンポーネンツは、決してライトウェイトではない車体に軽快さをプラスしている。
このバイクのプロフィールには、"ガレージビルド・カスタムスタイル"や"俊敏な身のこなし"といったワードが並ぶ。
バイクシーンにおいて、ここしばらくトレンドの一角を担ってきたのが、カフェレーサーやボバー。
これら昔ながらのスタイルにインスパイアーされたカスタムも多く見られた。
そして今、世界の潮流は、ストリートを泳ぐように駆け抜ける、虚飾を排したコンパクトなシルエットの、そしてジャンルに捕らわれることのないバイクがリードしていると言えよう。
エンターテイメントの国が生んだロードスターは、まさにそんな最新トレンドのど真ん中をゆく、スタイリッシュで速くて、それでいて気負わず乗れる楽しいバイクなのである。
初夏の陽気の中、都会の喧噪をあとに、首都高速、中央自動車道、相模湖経由で、新緑のワインディングを駆け抜ける。
いずれのシーンでも一切のストレスなく、富士山麓までの道程を堪能することができた。スポーツスターファミリーの中にあって、最もスポーティかつアグレッシブなスタイルをもちながら、ハーレーならではのトルクあふれるエンジン特性はそのまま。
ロードスターは、幅広いライダーが、そのスキルにあわせて楽しむことができる、懐の深さをもったバイクなのである。
HARLEY-DAVIDSON ROADSTER
フレームにラバーマウントされた1,201ccの空冷Vツインエンジンはそのままに、トリプルクランプ43mm倒立フロントフォーク、フロントダブルディスクブレーキ、リアのプリロードアジャスター付きプレミアムライド・エマルジョンショック、チョップドリアフェンダー、フロント19インチ、リア18インチの5スポークアルミキャストホイール、ロープロファイルのハンドルバー、ツーアップシートなど、専用装備を満載する。
photo: Kazumasa Yamaoka
text: Gao Nishikawa
special thanks: Harley-Davidson Japan(www.harley-davidson.com/0800-080-8080)