ハーレーに乗るのは今回が初めてという女性を連れて、二人で夏のショートトリップ。GAOナビゲートで向かうのは、10代のころから通いつめている街・福生だ。ブレイクアウトとローライダーの最新モデルにまたがって、いざ、GO WEST!
「バイクの運転がすごくうまかった」
「クルマもすごく好きらしいよ」
そんな噂を複数の知り合いから耳にして、いつか機会があれば会ってみたいと思っていた女性がいた。それが紗喜花ちゃんだ。モデルやタレントとして活動するいっぽう、自分と同じ生まれ年の’94年製の国産中型バイクを所有する、ちょっとマニアックなバイク好きという彼女。もちろん大型二輪免許も取得済みで、現在さまざまな大型バイクを愛車候補として物色中だが、意外にもハーレーはまだ乗ったことがないという。それならば、ぜひ試乗がてらツーリングでも・・・・・・と実現したのが今回のショートトリップ。
初めて乗るハーレーでツーリングとくれば、目的地は福生しかない。ハーレーの故郷・アメリカの空気が色濃く漂う、僕が愛してやまない街だ。
夏の強い日差しのなか、2台のVツインで中央道を西へと向かう。ブレイクアウトで先導しながら、僕は何度もミラー越しに彼女の存在を確かめた。常に安定した車間距離を保った、噂どおりの落ち着いたライディング。ローライダーのハンドル越しに映る彼女は、初めてのハーレーに不安を感じるどころか、鉄馬を操る楽しさに微笑みすら浮かべていた。はやく“初ハーレー”の感想を聞いてみたくて、福生に着くや僕は19歳のときから足しげく通っている、馴染みのサンドイッチレストランに立ち寄った。
「ツーリングでハーレーを見かけるたびに、どうしてあんなにのんびり走ってるんだろう、って思っていたんです。でも、今日初めて自分で乗ってみてわかりました。独特の鼓動感や振動、ライディングポジションも含めて、ハーレーはのんびり走るのが楽しくなるよう作られていたんですね」
紗喜花ちゃんが普段乗っている“国産ヨンパツ”とはまったく異なる乗り味。そこに新鮮な喜びを感じてくれているようで、なんだか僕まで誇らしくなる。
紗喜花
ファッションモデルのほか、タレントやMCとして二輪イベントでも活躍中。バイクのほか虫研究家としての一面も持つ。
GAOニシカワ
本誌編集長。19歳の頃から通い続けている福生好き。2000年式XL1200Sを所有する。
HARLEY-DAVIDSON
ブレイクアウト(右):ソフテイルファミリーのカスタムクルーザー。低く構えたシルエットと、幅240mmリアタイヤがもたらすアグレッシブなスタイルが特徴。本モデルから排気量が大きくなったツインカム103B(1689cc)エンジン搭載。
ローライダー(左):1977年の登場以来継承されるロー&ロングなフォルムは、ダイナファミリーとなっても健在。操作性に優れるミッドコントロールの快適なランディングポジションで長距離から街乗りまで幅広くこなす。
新奥多摩街道沿いにある「Cheese and Olive」は、USヨシムラに勤めていたという店主・長谷見さんのこだわりがつまったサンドイッチレストラン。GAOが若いころから通いつめたという思い出の場所だ。
皿からはみ出すサイズの「サブマリン」や、厚みのあるパンを豪快に重ねた「クラブハウス」など、初めて見る人は目を丸くする圧巻のボリュームだ。
アメリカンサイズのボリューミーなサンドイッチを二人で完食したあとは、僕も大好きなアメリカン・アンティークを豊富に扱う雑貨店に案内した。ビリー・ホリデイの歌声が流れる店内で雑貨探しに夢中になっている彼女を見ていると、何だかつい「娘を連れてきた父親」の心境になってくる。(現実はわんぱく盛りの3人息子の親父なのだが・・・・・・)
そしてR16を経由し、横田基地の周りを僕たちはゆったりと2台で流した。ふたたびミラー越しに見た彼女は、もうすっかり重い車体も太いトルクも意のままに、涼しい顔でローライダーを乗りこなしている。峠でなくても楽しいし、寄り道したって楽しい。そんな“のんびり”を愉悦とするハーレーの乗り味こそが、ライダーの心に自由をもたらし、僕のような男を遠くアメリカまで走りに行かせてしまうのだ。そんな自由のカケラを味わい、手にしてしまった彼女。そんな彼女のバイクライフは、いったいこの先どうなってしまうんだろう・・・・・・
そう微笑ましく眺めながら、僕は再び都内へとハンドルを切った。2台のVツインのすぐ脇を、基地内をローパスするプロペラ機の濃い影が、何度も追い越していった。
R16沿いに店を構えるアンティークショップ「BIG MAMA」。1950~1960年代のアメリカン・アンティークを中心に、家具や照明などのインテリア用品のほか、食器や雑貨を幅広く取り扱っている。
ファンの多い「Fire-King」も豊富に取り揃えており、足しげく通うファンも多い。GAOも当日は取材がてらヴィンテージのマグカップをお買い上げ。
Photo:Kazumasa Yamaoka
Edit:Miyuki Nakada
special thanks: Harley-Davidson Japan
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