日本で買えない魅力的なアメリカンセダンたち

世界のあらゆる市場と同じく、アメリカにおいても4ドアセダンは超重要セグメントだ。アメリカならではのトレンドとディマンドがあり、それらを反映した日本国内とは一味異なる米市場向けのクルマたちを紹介しよう。

photo:2018トヨタ カムリ
走りの良さを印象づけるためだろう、プレス試乗会では、カイル・ブッシュがドライブするNASCARカップカーのカムリも展示されていた。

2018トヨタ カムリ

 アメリカで15年連続ベストセラーカーの座についているトヨタ・カムリ。新型はプラットフォームからサスペンション、エンジン、変速機など全てを一新し、グレード別に異なる前後フェイスが用意された。うちラグジュアリー系LE系は国内導入モデルと同じシンプルなグリルをまとっているが、方やスポーティーなSE系はアグレッシブなグリルとエアアウトレット風のリア周り。北米市場の好みをがっつり取り込んだ、まさしくアメリカンないでたちだ。
 北米市場のパワーユニットはV6と直4のガソリンNA、そしてハイブリッドの3タイプだが、なかでもアメリカで支持されそうなパワフルで余裕の走りを楽しむなら3.5リッターV6エンジン搭載モデル。301馬力の直噴エンジンに新開発の8速ATの組み合わせで、高速巡航からワインディングまで気持ちよく走らせることが出来る。
 ブレーキ、ハンドリングは従来とは別物といってもよい好印象で、静粛性の向上や最新の安全装備も満載し、ミッドサイズセダンとしての新たなベンチマークとなる一台だ。

photo:新シャーシで低重心化され、リアのダブルウィッシュボーンサスとの相性もバッチリでハンドリングも格段に向上した。
開発陣イチオシのボリューム感たっぷりのリアビュー。カムリとしては初採用となる四本出しのテールパイプにブラックルーフ、そして真紅のレザー内装などなど、今まで以上に「カッコ良さ」に注力した仕上がり。

リンカーン コンチネンタル

 1939年に初代が登場して以来、高級アメリカ車の代名詞的存在だったリンカーン・コンチネンタル。2002年に一旦途絶えた車名が15年振りに復活した。もちろん内外装を一新したニューモデルとしてだ。
 コンセプトモデルから引き継いだ「いかにも」な威風堂々の外観は、少し前まで同じフォードグループだったジャガーを彷彿とさせるフロントフェイス。全長5115ミリ全幅913ミリ、全高1489ミリという堂々のボディサイズはレクサスLSやベンツSクラス、BMW7シリーズといったプレミアムブランドの旗艦モデルとほぼ同じだが、4万5千ドル〜7万8千ドルという価格帯はベンツEクラスやBMW5シリーズ、アウディA6のレンジ同等で、かなり魅力的。
 3種類用意されるV6ガソリンエンジンは3.7L (305hp)と2.7Lツインターボターボ(335hp)、そして最強モデルが3Lツインターボ(400hp)で、すべてにAWDが組み合わせられる。
 フォードの日本国内販売撤退により、残念ながら正規輸入は望めないが、パワフルでラグジュアリーなアメリカ車の魅力が満載の一台だ。

 取材車は最上級グレードの「ブラックラベル」。ショルダーラインのクロームモールと一体化したドアハンドルなどなどキーとなるデザインにも往年の王者の風格があふれている。
 内装は、上質のレザー製で、クッション部分が浮き上がっているようなシートデザイン。前席は30通りのアジャストが可能で、なんと四席すべてにシートヒーター&ACに加えマッサージ機能までもが組み込まれている。

ニッサン セントラ ニスモ

 北米日産のメインストリームモデルとして、コンパクトセダンのセグメントに定着している「セントラ」にNISMOバージョンが加わった。
 エンジンと駆動系は、一足先に発売された「セントラSRターボ」に準じたもので、「JUKE NISMO」と同じDOHC4気筒1.6リッター直噴ガソリンターボ「MR16DDT」を搭載。
 最高出力188hpを発揮する。トランスミッションは6速MTもしくはマニュアルモード付きのエクストロニックCVTが用意され、駆動方式はFFのみ。NISMOのコンプリートカーとして初めてメキシコ工場で生産される。
 メキシコ産まれのアメリカンながら、ボディ剛性のアップ、スポーツサスや、セントラ初となる18インチホイールの採用、空力にこだわった専用エアロ装着に至るまで、徹底的に走りを追求したNSIMOチューンがしっかり施されている。

photo:NISMO専用スポーツシート、レッドセンターマークとステッチの入ったアルカンターラ巻ステアリングやシフトノブ、専用メーターパネルなどなど「NISMOな装備」で固められたインテリア。1.6Lターボエンジンは小気味よいまでの吹け上がり、6速MTの小気味よさとあいまって、キビキビとした走りを堪能することができる。

photo&text: Kenny Nakajima

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