長野県佐久市の消防団秘蔵の三輪消防車がやってきた!

オンザロードマガジン読者にはお馴染み、東京・板橋にあるヴィンテージ・ジープや特殊車両を得意とするショップ『オートジャンクション』。
同店の新レストアプロジェクトのお題は、昭和30年代製の手づくり『三輪消防車』だ!

 間違いなくワン&オンリー。
 その三輪消防車は筆者よりもずっと歳上、昭和32(1957)年の製造。車体は長野県小諸の鉄工所が手づくり。着任したのは県内臼田町(現佐久市臼田)の消防団。以来この6月まで、『佐久消防団第三方面(臼田方面)』が管理していたという。

 運転席背後にニッサン380型トラック用、サイドバルブ直6エンジンが縦置きされ、当時数多くの消防ポンプを製造していた、東京の日本造機株式会社製ポンプが、ドライバーの両足に挟まる位置に搭載される。
 操舵は太いフロントフォークの上端から伸びる、長~いハンドルバーで行う。運転席の左右に一脚ずつ、小さな座席が備わるのも面白い。

 板金と溶接により手づくりされ、赤く塗られたボディは、ハンドペイントによるゴールドのストライプと、ゴールドリーフ柄の転写デカールで飾られる。
「当時ポンプは高級品。だから消防車にはこういう装飾が施されたのです。」
 そう話すのは、平成26年に千葉県で私設の消防自動車博物館を立ち上げた、鈴木靖幸さん。以前ご紹介した、『しょうぼうじどうしゃ じぷた』の実車化プロジェクトを、オートジャンクション代表の安井一郎さんとともに完遂した人物である。

「雑誌の取材が縁で、博物館に寄贈して頂きました。旧い消防車8台からスタート、これで13台目になります。エンジンはもちろん、ポンプなどの装備も動態保存を基本にしているので、この三輪消防車も安井さんと一緒にレストア、近日中に展示公開したいと思っています。」という鈴木さんの笑顔は、新しいオモチャを手に入れた子供のようだった。('17年10月16日追記:この三輪消防車も既に消防自動車博物館に展示中です)

立ち乗りできるよう、リアオーバーハングが長く、意外に大きな車体。
シャシーやボディーは長野県小諸の鉄工所製。消防ポンプメーカー、日本造機の昭和32年製造のプレードが後部に。
運転席背後、箱状のエンジンルーム内に納められたのは、ニッサン380型トラック用のサイドバルブ6気筒エンジン。
運転席に座るのはオートジャンクション代表の安井さん、お隣は消防自動車博物館館長の鈴木さん。操舵はバーハンドルで。運転者の股間に消防ポンプが!

譲渡時の写真。
左から、佐久消防署長の井出喜太郎さん、佐久市消防団第三方面隊長の沖田修一さん、そして消防自動車博物館館長の鈴木靖幸さん。

長野から積載車に載せられオートジャンクションに到着!

レストア後は、千葉県の消防自動車博物館に収蔵される予定。背後に見えるのは、オートジャンクションで整備中の『じぷた』だ。
('17年10月16日追記:この三輪消防車も既に消防自動車博物館に展示中です)

special thanks:
Auto Junction
www.autojunction.co.jp

消防自動車博物館
千葉県夷隅郡御宿町実谷437 鶏卵牧場レトロぶーぶ館 隣接
0470-68-2631
土・日・祝祭日のみ開館

photo: Yasuyuki Suzuki, Gao Nishikawa
text: Gao Nishikawa

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