レーシングチームが主宰する、プロの現場を活用した『学生参加共同プロジェクト』取材記。

モータースポーツの現場で若者に職場体験をさせたい。 そんな思いで『学生参加共同プロジェクト』を実施しているのが、スーパーGT、スーパーフォーミュラという国内トップカテゴリーに参戦、5年前からスーパー耐久にもエントリーしている、KONDOレーシングチームだ。

『KONDOレーシングチーム監督 近藤真彦さんからのコメント』
 今年で5年目のプロジェクトですが、学生たちはいつも一生懸命にやってくれています。 レースウィークにチームのメカニックやスタッフと過ごすことで、明らかに成長しているのが、見ているだけでもよくわかります。 メカニックも学生たちには後輩メカに教えるように指導しています。金曜にはまだ危なっかしさもありますが、日曜にはプロと変わらない、しっかりした目つきで作業に集中しています。
 サーキット、それも実際にレースを戦っている現場の緊張感が、人を育てるのには最適なのでしょう。 チームも学生たちの熱い心に後押しされ、さらに気合が高まって好循環を呼んでおり、開幕2連勝に続き第3戦では3位表彰台を獲得しています。
 ただ学生たちには、単に勝ち負けだけではなく、レースの面白さと厳しさ、その両方を味わってもらいたい。 将来的に自らのスキルアップに繋がる、そんな機会になって欲しいと思っています。
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 2012年から日産自動車大学校とのタッグで実施している『学生参加共同プロジェクト』の活動は、主にサーキットで行われている。
 取材したスーパー耐久第3戦、鈴鹿サーキットには、64名もの学生が集まり、メカニック作業、機材整理や清掃、ドライバーのお世話をするマネージャー、撮影、ホスピタリティールームの運営、ファンへのチラシ配布など、チームの様々な仕事をサポートし、決勝レースには300名以上の応援学生が参加した。
 「選抜された学生をプロの現場に迎え、そこでの体験を通していろいろ学んでもらいます。『若者のクルマ離れ』と言われて久しいですが、レースを通してクルマの魅力を伝えたい、自動車業界に貢献したい、そんな思いもあってスタートしました。」そう語るのは、KONDOレーシング統括本部長で、プロジェクトの発起人、河野初樹さん。NISMO(ニッサン・モータースポーツインターナショナル)で様々なモータースポーツ関連業務を経験後、大手商社を経て近藤真彦さんとともにKONDOレーシングを立ち上げ、牽引してきた人物だ。
 「モータースポーツの世界は、ワクワク・ドキドキさせてくれる素晴らしい場所だけれど、言い訳のきかないプロの現場でもある。社会の仕組みや、心構えを学ぶのにとてもいいフィールドです。」 これはご自身の体験にもとづく実感なのだそう。


 「プロジェクトスタートの年、実際に学生に接してみると、そのほとんどがサーキットはもちろん、テレビでもレースを見たことがないと言う。レーシングゲームは楽しんでいるのに。整備士を目指す若者がこんな状況ではマズイ、プロジェクトを継続していかなければという使命感が強くなりました。」
 そのために、幾多の苦労を重ねながら、手応えも感じているという。
 「学生たちが試行錯誤しながら率先して動けるようになっていくのを見ると、頼もしさを感じる。この取り組みについて、日産以外の自動車メーカーの方々も垣根を越えて評価して下さっている。これも嬉しい出来事でした。」
 勝負の世界ゆえ勝たねばならない、チームとしてチャンピオンを穫るという目標もあるが、いずれはそれを学生たちとともに成し遂げたいと河野さんは言う。
 「私の個人的な夢ですが、いつか学生選抜チームと共にル・マンやニュルブルクリンクに挑戦するという夢も持っています。僕たちの経験やレースへの思いを伝承していきたい。モータースポーツをもっとメジャーにしたい。プロジェクトがそのための役に立てば嬉しいですね。」と河野さんは活動の未来についても語ってくれた。

KONDOレーシング 河野初樹さん


MACTOOLSもプロジェクトに参加、学生たちを応援中! マックメカニクスツールズも、KONDOレーシングの『学生参加共同プロジェクト』に共鳴、今期から学生たちに講義を行っている。その模様をご紹介しよう。
豊富な知識と経験をもつスタッフが、高品質、高性能、そしてタフなツールとはどんなものなのか、その選び方や使い方を丁寧にレクチャー。 「いいツールで安全に、質の高い仕事をして欲しい。」と講師の新倉さん。 「学生たちにとって、一生モノのツールに触れる、とてもいい機会になっています。」と語るのは日産自動車大学校の先生方。 テクノイルグループバンに満載されたツールの多くに生涯補償が付いていると聞いて、目を輝かせる未来のプロメカニックたちの姿も印象的だった。

この日はMACTOOLSの新倉さんにより、実験を交えた体験型の講義が行われた。

終了時にプレゼントされた、各自の名前入りレンチを手にして笑顔を見せる学生たち。

ツール満載のテクノイルグループバンの中では、MACTOOLSの山本さんが商品を説明。

photo&text: Gao Nishikawa / special thanks: KONDO RACING TEAM, 日産自動車大学校 special thanks: マックメカニクスツールズ株式会社(0120-371-660 / www.mactools.jp

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