18年ぶりにまったくの新設計で登場したビッグツイン、MILWAUKEE-EIGHT。
このエンジンを搭載するツーリングモデルを中心に、ハーレーダビッドソンの2017年モデルに試乗する機会を得た。時は9月末、舞台は、ジャパニーズライダーの聖地、広大な北の大地、北海道だ。
登場以来、排気量アップやインジェクション化など、数々のブラッシュアップを重ねながら進化を遂げてきたハーレーダビッドソンのビッグツインエンジン、通称ツインカム。2000年以降、折々の最新型ツーリングモデルで、主にアメリカをロードトリップしてきた筆者にとって、馴染み深いエンジンであり、その進化も体感してきた。しかしながら、ABSや快適装備の追加などによって、わずかずつ増加してきた車重、インジェクション化以降、とくに渋滞時に気になるエンジンやマフラーからの熱気など、問題点も散見されていた。スムースライドを求めることで、Vツインらしさ薄まったという声も聞かれた。
ミルウォーキーエイトの公式資料を読んで嬉しかったのは、ビッグツインを愛好する多くのライダーが、ツインカムに対して不満に思っていた事象の多くに、この新エンジンが明確な答えをもっていたこと。それゆえに、恵まれた道路環境をもつ北の大地、ここ北海道での2日間、500キロ以上におよぶ試乗を、とても楽しみにしていたのだ。
最初に選んだのはロードグライド スペシャル。重心が低く、フェアリングがフレームマウントされていることで、ハンドリングも軽快。進化をじっくり味わえるだろうと考えての選択だ。新エンジンはシングルカムになったと聞くと、時代と逆行しているように感じるが、走り出せばそれは杞憂に終わる。ヘッド周りからのメカニカル・ノイズをほぼ気にならないレベルまで低減。一方、Vツインらしい鼓動と、歯切れのいい重低音サウンドは強調されている。パーシャルからシフトダウンせずにスロットルを開けても力強く加速、幅広い速度域で太くなったトルクの恩恵を感じる。加えて、ブレーキタッチや足着き性の向上は、都市部のライダーにこそ嬉しいパフォーマンス・アップだ。ハンドリングも進化、低速での旋回も気負わずにこなせる。実に気持ちいいバイクだ!
photo: Harley-Davidson Japan
text: Gao Nishikawa
special thanks: Harley-Davidson Japan (www.harley-davidson.com/0800-080-8080)