フルチョイス仕様の日産シルビアS13「NISSAN SILVIA S13」

オンザロードマガジンで連載中、クルマ屋「いけが屋」ことユーティリタス代表池谷祐一さんのコラムvol.17を再編集してお届け。今回は池谷さんが愛してやまないS13シルビアのおはなし。

毎度っ!東京・小金井のクルマ屋、ユーティリタスの“いけが屋”です。今回は、最近入荷した日産シルビアを読者の皆様にご紹介してみようと思います!

平成の初頭、日産のスポーツカーが一世を風靡した。日本ツーリングカー選手権の覇権争いのために開発されたR32スカイラインGT-Rを筆頭に、Z32フェアレディ、WRC(世界ラリー選手権)に向けてはパルサーGTI-R、4ドアセダンとして専用設計されたセフィーロにすらツインカムターボ&5速MTを有するグレードラインアップがあった。そしてS13シルビアは老若男女に広く人気を博したトヨタのAE86亡き後、FRスポーツとしての地位を確立した。派生モデル、180SXは欧米の200SX/240SXへのオマージュとして日本にも投入されたのだ。
AE86しかり、S13シルビアも新車時は運転愛好者以外の若者の生活様式にマッチし、デートカーとしての需要も多かった。80年代後半→90年代初頭の日産車の進化は「角張りスタイルのボディ&絶壁インパネ」から、「ラウンドシェイプ&近未来風3Dインテリア」に進化を遂げ、こちらも広く世間に受け入れられた。
肝心の性能はというと、1988年のデビュー時は1800ccツインカムのCA18型エンジンを積んだが、1991年のマイナーチェンジで、新開発2000ccのSR20型エンジンを搭載、走りの戦闘力をアップした。わずか1200Kgほどの5ナンバーサイズボディーに205馬力のツインカムターボエンジンを搭載、クルマを振り回す楽しさを教えてくれるシルビア&180SXは、各地のサーキットやワインディングで必ずお目にかかるほどの人気者だった。
 ランクル&R30スカイライン好きの私、いけが屋だが、実は15年以上にわたるS13(180SX)オーナーであり、以前本誌でもご披露した左ハンドルS14シルビアのオーナーでもある。昭和のスカイラインにはない、マルチリンクサスペンションのドライバビリティの高さに敬意をはらいつつ、愛機180SXでドリフト走行を嗜むのがいけが屋の余暇の趣味であり、S13は純粋に運転を楽しむのにもってこいだと考える。

今回ユーティリタスに入荷したのはS13シルビアの後期モデル、SR20ツインカムターボエンジン搭載の“K’s=ケーズ”グレード、マニュアルミッション搭載車だ。新車で購入し大切に保有していたオーナーさんを口説き落としユーティリタスにやってきた一台だ。
オプションの純正エアロパーツ、サンルーフを装備。当時新開発のプロジェクターレンズを有するヘッドライトは「照度が低い!」とマニアうけが悪かったのだが、マニアな前オーナーは標準リフレクタータイプのヘッドライト(今日ではこれを通称“角目”と呼ぶ)に換装。いわばS13シルビアのフルチョイス仕様という逸品だ。近年は前オーナーの実家ガレージに保管されていたそう。おかげで大多数の同型車ではヤレが隠せないダッシュボードのひび割れやウインドウ周りの樹脂モールの劣化などが皆無なところなどに、この個体の上質さを垣間見ることができる。

さらに当時モノのBLITZ製16インチアルミホイール、HKSリーガルマフラー、ナルディ製ステアリング、などマニアックアイテムでモディファイされている。社外LSDや車高調などによるスタビリティアップも忘れられてはいない。
しかしながら製造から28年が経過、正常に機能しない恐れもあったため、ユーティリタス入庫後にブレーキ廻りのフルオーバーホールと足廻りブッシュ類のリフレッシュを施工。元来の内外装のコンディションの良さと機能面のリフレッシュで、当時のスキルを取り戻したS13シルビアはユーティリタスの店頭で展示・販売中だ。若かりし日には入手できなかったというリアルタイム世代には、夢を実現するチャンスであり、かつて同型車を手足のごとく使い倒したという人には愛車の再来。S13に憧れる現代の若者も多いはず。手に入れたい理由は様々だろうが、未来のオーナーが心の友とするには十分以上の逸品。
「我こそは!」というあなたに、是非名乗りを上げていただきたい!

日産シルビア K’s
平成4年式 5速MT 純正パールホワイト サンルーフ 純正オプションフルエアロ
96,500Km実走行
車両本体価格:2,698,000円(消費税込み)
http://www.utilitas.co.jp/stocks/stock/h4-nissan-silvia-ks/

photo&text:
ユーティリタスいけが屋こと、池谷祐一
「クルマ好きが嵩じてクルマ屋になった!という典型的クルマバカなクルマ屋」を自称。顧客の要望に合わせ、各種マニアックなクルマを取り扱うユーティリタスの代表。得意車種はランクル・ロクマル、スカイラインDR30など。上の写真は、LAで北米仕様左ハンドルのS14シルビアをリフトアップ、足回りのセッティングを行っている様子。

ユーティリタス
東京都小金井市貫井南町1-5-22
042-384-7700
http://www.utilitas.co.jp/

Related article

関連記事