初代誕生から5年。1.6リッター EcoBoostのエンジンを搭載し、エクステリア、インテリを一新。フォードがもつ多くの先進技術を投入、次世代のSUVとして生まれ変わった新型クーガに試乗した。
クーガはヨーロッパ・フォードを拠点にゼロから開発されたコンパクトSUV。今回試乗した新型クーガは、2008年に登場した初代を全面改良、フォーカスに続き、フォードが提唱する「ONE FORD」戦略のもとに誕生したグローバル・プロダクトだ。初代にも採用されていたキネティック・デザインはさらに進化。風によって刻まれたかのような鋭いエッジや立体感のあるプレスラインにより、シャープさと重厚さが融合、アスリートの鍛え抜かれた肉体ような躍動感をクーガに与えている。
新型クーガにはプレミアムな「Titanium(タイタニアム)」とスタンダードな「Trend(トレンド)」の2モデルが用意されているが、今回試乗したのは「Titanium」。試乗のステージとして用意されたアップダウンとタイト・コーナーの連続する峠道、そして直線の有料道路で、磨かれた走行性能をじっくりと味見した。
躍動感あるエクステリアにマッチした、スポーティなコックピットはフォーカスと共通性のある意匠。フロントシートには10Wayパワーシートや4方向に調節可能なヘッドレストを採用、最適なドライビングポジションをとることができる。Titaniumはフルレザー・シート、Trendがハーフレザー・シートとなる。さらにTitaniumにはデュアルパネルサンルーフも標準装備。
1.6リッター4気筒のEcoBoostエンジンは、132kW(182ps)の最高出力と240Nm(24.5kgm)の最大トルクを発揮。ハイパワーと低燃費を両立している。
パワートレインは日本初上陸となる1.6リッター4気筒のEcoBoostエンジン。省燃費のためとはいえ、ここまでダウンサイジングしてしまったら、このSUVには非力なのでは、と思っていたが、走り出してすぐに、その心配は杞憂に終わった。ワインディングや中高速域からの追い越し加速など、あらゆるシーンで充分以上の力強い走りを披露してくれた。SUVにありがちなコーナーリング時の不安定さも感じない。低速時、そしてごく静かな環境下に限って言えば、小排気量独特のノイズが耳に届くことがあるが、それもごく僅かなもの。加速していくと3リッタークラスの乗用車のように静かに、そして滑らかに加速してゆく。先に発売された新型フォーカスは氷上を優雅に滑るかのごとくシルキーな乗り味だったが、それに比べるとこの新型クーガは硬派な部類、路面をしっかりとらえ、その状況を正確に伝えてくれるスポーティなクルマだ。アメリカ車の血統であることをも感じさせてくれるパワフルな走りが印象的だった。
SPECIFICATION
フォード・クーガ・タイタニアム/トレンド
■全長×全幅×全高:4540×1840×1705
■車両重量:1720kg
■エンジン:1.6ℓ直列4気筒直噴式インタークーラー付きターボ
■最高出力 kW[ps]/rpm:134[182]/5700
■最大トルク Nm[kg-m]/rpm:240[24.5]/1600-5000
■ミッション:フロア6AT
■ボディカラー:タイタニアム(ジンジャーエール、フローズンホワイト、ムーンダストシルバー、パンサーブラック)/トレンド(フローズンホワイト、ムーンダストシルバー、パンサーブラック)
■希望小売価格(税込):3,850,000円(タイタニアム)/3,400,000円(トレンド)
photo: Yoichi Suzuki, Gao Nishikawa
text: Yoichi Suzuki
special thanks:
Ford Japan Limited(0120-125-175 http://www.ford.co.jp)